【サッカー】なでしこリーグの今

 なでしこジャパンがリオデジャネイロ五輪出場を逃してから、はや1カ月が過ぎた。それぞれがクラブに戻り、練習を再開。3月末に、なでしこリーグは開幕した。

 敗退が決まって、懸念されたことの一つが「なでしこ離れ」だった。世間からの応援、サポートしてくれるスポンサー、競技に対する支援体制、リーグでの観客動員、メディアの露出…。11年ドイツW杯で優勝し、なでしこフィーバーが巻き起こったのを体験しているだけに、日本代表が勝つことの意味や価値を誰よりも知っているのは選手たちだった。試合後、選手は「責任を感じる」「今後チームで結果を出すしかない」と口をそろえた。

 ここまでリーグ3節を終え、昨年と比べると、対戦相手や会場の違いはあるが、観客動員はいずれの節も上回っている。第1節はリーグ全5試合の合計が前年比3672人増。同じく第2節は1371人、第3節は2937人増えている。

 細かく見ていくと、開幕戦の動員を大きく伸ばしたのは昨年末の皇后杯で準優勝したアルビレックス新潟レディースだった。昨年の開幕戦は伊賀戦で1426人だったのに対し、今年はなんと4587人。ただし、これはなでしこの試合後に男子のJ1新潟がナビスコ杯を戦う“夫婦ゲーム”だったことが大きいと考えられる。手放しでは喜べないが、これを機になでしこリーグや女子クラブへの注目が高まれば、プラスに働いていくだろう。

 今季1部に昇格した長野は、ここまでホームゲーム2試合を開催し、いずれも2500人ほどを集客。地域で愛されるクラブになっていけば、代表の成績に影響されない基盤を築くこともできるはずだ。

 なでしこリーグのクラブ関係者は、既存のスポンサー企業から「わたしたちはこれからも変わらず、応援しますよと声を掛けられホッとした」などとも話していた。いまのところ大きな“損失”は表面化していないように思えるが、その影響は五輪開催中や五輪後の方が顕著に表れるのかもしれない。

 宮間は「自分たちが五輪やW杯を経験してきた中で、つないできたものを途切れさせてしまった。東京五輪は予選がないので、五輪を戦う機会をつかめなかった責任は大きい」とも言っていた。今後、代表は新たな指揮官の下で新たなチームがつくられることになる。その始動が早くなったと考えれば前向きだが、宮間が言うように「五輪」という唯一無二の大会を経験できない意味は大きい。

 6月には、米国との親善試合が組まれた。どんな選手が選ばれ、どんな戦いを見せるのか。なでしこらしさは変わらず有り続けるのか。進化も、変化も、ピッチ内外で取材し続けなければと思う。(デイリースポーツ・國島紗希)

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