【野球】巨人 求む!大型左腕の台頭

 巨人は20日、春季キャンプのメンバー振り分けを発表。新人ではドラフト1位の桜井俊貴投手(立命大)、2位の重信慎之介外野手(早大)、7位の中川皓太投手(東海大)が1軍メンバーに選出された。

 中川は7位以下の選手としては、異例の大抜てきとなった。直球の最速は145キロと速くはないが、スライダーやシュートを駆使し、ストライクゾーンを広く使う183センチの大型左腕。高橋由伸監督は「巨人軍のピッチャー、特に先発で左は重要。左投手として戦力になってほしい」と期待感を示した。

 “投手王国”の巨人で、左腕不足は不安材料の一つ。長くチームを支えた内海が近年は低迷し、杉内は股関節の手術で今季は前半戦の復帰が微妙。現時点で、左の先発候補には昨年8勝のポレダと3勝の田口もいるが、手薄な状況であることは間違いない。

 球界全体でも、中川のような大型左腕は貴重なタイプといえる。巨人のあるスカウトは「180センチ以上の左腕、特に高卒の選手は成功例が少ない。速いだけではなかなか通用しない。育てるのは難しい」と話す。

 巨人は2000年以降、ドラフト1位で05年に辻内(185センチ)、11年に松本竜(193センチ)の高卒左腕を指名。ともに素質は高く評価されていたが、プロでは芽すら出なかった。松本竜は昨年の賭博問題で失格選手としての処分を受けたとはいえ、両投手とも1軍で登板することなく球界を去った。

 伸び悩む大型左腕。その要因の一つとして、巨人・阿波野3軍投手コーチはプロ入りまでの過程を挙げる。「左投手で武器になるのは角度。中学や高校で体が大きく、球が速い左ならば『とにかく真ん中に投げなさい』と教える指導者が多いと思う。自分は体が大きい方ではなかったから変化球を磨き、けん制やクイックも練習した」。クロスファイヤーは左の武器になるが、レベルが高くなるほどさまざまな技術が求められる。

 阿波野コーチは、大型投手の“弱点”が飛躍の妨げになるケースもあると指摘する。「どうしても、不器用なタイプが多い。例えば、体の大きな選手は立ち上がりに苦しむ傾向がある。マウンドの傾斜や硬さなどに慣れるまで時間がかかってしまう。左投手は走者を見ながら投げる難しさもある。走者を気にして崩れてしまう投手もいる」。安定感やバランスを立て直す能力に欠け、不調に陥る投手が少なくないようだ。

 昨年のドラフトで、巨人は中川だけでなく183センチの本格派左腕、巽大介投手(岩倉高)も6位で指名した。プロの高い壁を乗り越え、左腕不足のチームを救うことができるのか。下位指名ながら、両ルーキーにかかる期待は大きい。(デイリースポーツ・佐藤啓)

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