清宮が憧れた金本氏が語る清宮の技術

 8月16日のデイリースポーツに掲載したコラムに反響があった。ネタは野球界に新風を吹き込む早実・清宮幸太郎内野手だ。今回、当欄で少し加筆してみたい。

 彼を取り上げた雑誌「Number」の編集者と話す機会があり、清宮が家族の影響で幼少時代から阪神ファンであったこと、金本知憲に憧れて育ったことなど、興味深い話を教えてもらった。金本氏本人にその事実を伝えてみると「初耳」だという。注目度の高さは新聞報道などで見聞きしていたものの、今夏は多忙で、そのフィーバーぶりをテレビで見る時間的余裕がなかったそうだ。

 ならば…LINEで動画を送ってみた。清宮の甲子園1号アーチをYou Tubeで見た金本氏は驚いたように、解説つきで返信をくれた。

 金本氏「金属バットなのに、きっちりと打球を運ぶ打ち方をしているよ」

 16歳の打撃技術に興味津々で、よほど感心したのだろう。「次の試合はいつ?」と早実の日程を確認し、準々決勝の九州国際大付戦はしっかりチェック。

 金本氏「腰がどっしりしているし、しっかりと軸で回っていたね」

 2戦連発となった弾丸アーチについて、そんなふうに評した。

 頭の位置、上体が投手方向へ突っ込むことのない軸回転の打撃フォームは、金本氏が長年かけて素振りで体に染みこませたもの。脚光を浴びる大舞台で高校1年生が簡単にやってのける-。

 金本氏「彼、半年前まで中学生だったんだよな。これは…なかなかだぞ」

 さすがの鉄人も評価の言葉が簡単に見つらなかったようだ。

 興味深い話はこれで終わらない。私は清宮の動画を何度も見返しながら、あれ…と思い、尋ねてみた。

 少し、自分のフォームに似ているとは思わないか?

 金本氏「いや、ちょっとそれは分からないな。人の真似(まね)は難しいものだから」

 同じ質問を金本氏を広島時代から知る阪神の多田昌弘打撃投手にぶつけてみると、「清宮くんの右足の使い方は確かに金本さんに似ているかもしれません」という。スイング時に踏み込む側の膝の使い方、足の角度…。阪神の掛布雅之DCもよく踏み出す足の重要性を若手選手に説いており、金本氏のフォームも好例に挙げている。小学生時代から掛布さんと旧知の清宮が少なからず影響を受けた可能性もありそうだ。

 前述のNumber編集者によると、清宮の父・克幸氏(ラグビー・ヤマハ発動機監督)は右利きの息子が左打ちになった理由について、金本氏の存在が大きかった…そんな趣旨の発言をしていたという。右投げ左打ちとしては日本球界で最も多い476本の本塁打を記録した打者だけに、少年が影響を受けて当然だし、憧れの存在ならばなおさら幼い頃からフォームをまねていても不思議はない。

 本人を取材する機会を楽しみに待ちたい。

(デイリースポーツ・吉田 風)

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