なでしこ宮間の強力なキャプテンシー

 カナダでの熱戦も、ファイナルを残すだけとなった。サッカー女子日本代表(なでしこジャパン)は、女子W杯の連覇をかけてバンクーバーで米国との決勝戦(日本時間6日・午前8時)に臨む。

 初戦にFW安藤梢(フランクフルト)が負傷して離脱するなど、ここまで多くの苦難がありながらも、それらを乗り越えて2大会連続の決勝へと登り詰めたなでしこジャパン。4年前のドイツ大会では、主将としてMF澤穂希(INAC神戸)が大活躍。大会得点王に加えてMVPも獲得した。決勝・米国戦での延長戦同点弾、そしてセレモニーで金色の紙吹雪が舞う中、トロフィーを高々と掲げ、その後、日の丸を背負ってピッチ内を一周していた姿をいまだに覚えている人も多くいると思う。

 そして今回のカナダ大会で、4年前の澤と同じように主将としてチームをけん引しているのがMF宮間あや(岡山湯郷)。得点こそPKのみの2得点だが、その動きは紛れもなくチームの“心臓”。世界屈指といえる技術だけでなく、対戦相手を気遣う姿勢など、プロフェッショナルなアスリートとしても、世界最高峰の女子サッカー選手の一人だ。もちろん、今大会のMVP候補にも名前が挙がっている。

 そんな宮間が、澤から主将を受け継いだのが12年のアルガルベ杯(ポルトガル)だ。当時、宮間は「何も変わらないと思うが、みんなが自分を出せるような明るい雰囲気にしたい」と謙そんしたが、澤が「(宮間)あやがやるのが最適かも」と語ったことを、今でも覚えている。

 続く12年のハイライト、ロンドン五輪。宮間は「主将として特別なことはしていない」と言うが、そのチームマネジメントはとても緻密だ。ロンドン五輪開幕には、手作りの日めくりカレンダーを制作し、チームの士気を高めた。出場機会のない選手の部屋にも積極的に出向いていた。

 当時の控え選手は「サッカーの話というより、他愛のない話だったけど、それがうれしかった」と振り返る。バックアップメンバーとして、現地に帯同しながらもベンチに入れなかった4人(GK山根、DF有吉、MF上尾野辺、FW大滝)には、試合後のあいさつで真っ先に手を振った。当時、大滝に聞いた際には「私たちもチームだなって思えて、本当にうれしかった」と話していた。

 迎えた決勝・米国戦は、1-2で敗戦。なでしこジャパンは銀メダルに終わった。聖地・ウェンブリーには、FW大儀見優季(ウォルフスブルク)に抱えられ、号泣する宮間の姿があった。

 あれから3年。準決勝・イングランド戦後、宮間はこう話したという。「五輪は金メダルを持っていかれている。W杯は渡さない気持ちでやりたい」。連覇に注目がかかるが、五輪決勝の悔しさを忘れた選手はだれもいないだろう。あの時、流した涙を、今度はうれし涙に-。現地には行けていないのが残念だが、戦いの行方を見届けたい。

(デイリースポーツ・松落大樹)

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