TSUKEMEN演奏する頭作曲する頭

 音楽の世界では自明のことなのかもしれないが、個人的には印象的な話を聞いた。2バイオリンとピアノのインストゥルメンタルトリオ「TSUKEMEN」からだ。TSUKEMENのメンバーはバイオリンのTAIRIKU(30)、同じくKENTA(30)、ピアノのSUGURU(29)で、TAIRIKUはシンガー・ソングライターの大御所さだまさし(63)の息子である。

 4月22日にリリースされたTSUKEMENのニューアルバム「Op.1~FRONTIER~」では、メンバー3人がそれぞれ1曲ずつ作曲を担当しているのだが、KENTAは「基本的に、作曲する時は、頭の使い方が演奏する時の頭の使い方と違っている」という。

 「作曲に集中するのは、演奏の方に比べて身が入らないので、難しいと思う。もっともっと勉強して練習して、自分の頭が新鮮な状態をキープできるようになったら、作曲のペースも違うのではないかと思っています。コントロールがなかなか難しいと思います。一筋縄ではいかない、難しいと思います」

 ちなみに「Op.1」でKENTAが作曲した「雪原を越えて」は、TSUKEMENが冬の北海道をツアー中、大自然に触発されて生まれた。

 「広がる白銀の世界を移動していて、太陽の光が白い雪に反射して輝く大地を見て『美しいな』という気持ちが湧いて、感激みたいなものを人に分けることができたら」と思い立ち、移動の車中でメロディーを書いたという。

 SUGURUは「3人とも音大を出ているんですが、(音大は)プレーヤーと作曲家が完全に分かれている世界」と教えてくれた。KENTAが言うところの「頭の使い方」の違いはここから来ていると思われる。

 だからこそTSUKEMENは「チャレンジとして、書いて弾くことを目標にやってきた」と、SUGURUは明かす。TAIRIKUも「ゆくゆくはオリジナルでいけるアーティストになりたいと思っていた。本当に自分たちの中から出てくるものをやるにはオリジナル」と言う。

 私が個人的に聴いているのは主にロック(これも大ざっぱすぎる分類だが、便宜上ということで…)なのだが、このジャンルではザ・ビートルズやボブ・ディラン以降、現在に至るまで、自分で作曲し、歌って演奏してというミュージシャンが主流だ。ジャズに至っては演奏しながら曲が新しく展開していくわけで、クラシック畑出身と言っていいであろうTSUKEMENの説明は興味深かった。

 KENTAは、担当する楽器によって作曲の方法が変わってくるとも指摘する。

 KENTAが弾くバイオリンは「旋律楽器なので、メロディー(のアイデア)が出しやすい」といい、一方で「和音の響きを表現する方法を模索するには、ピアノとかギターのようなコード楽器の方が得意」なのだという。これは私にも理解しやすい。

 TSUKEMENはカテゴライズするとすれば「クラシックとポップスのクロスオーバー」。私にとってはあまり聴くことのないジャンルだったが、教えられることは多かった。話を聞けて良かったと思う。(デイリースポーツ・藤澤浩之)

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