18年W杯のカギ握る16年五輪世代

 サッカー日本代表は5月12、13日の2日間、国内組のみの候補合宿を千葉県内で行った。集められた28人の中には16年リオデジャネイロ五輪を目指すU-22(22歳以下)日本代表DF岩波拓也(20)=神戸、植田直通(20)=鹿島、FW浅野拓磨(20)=広島=も含まれていた。バヒド・ハリルホジッチ監督(63)は「若い選手をもっと知りたいと思った」と3人の選出理由を説明した。

 14年W杯ブラジル大会で1勝もできず1次リーグ敗退に終わった日本代表にとって、18年W杯ロシア大会は失地回復の舞台となる。その鍵を握るのが今回選出されたリオ五輪世代だ。過去にW杯を戦った日本代表を振り返ると、本大会6年前の五輪を戦った選手の多くがチームの中心となる傾向にある。

 例えば14年ブラジル大会では本田圭佑をはじめ、吉田麻也、長友佑都、内田篤人、岡崎慎司、香川真司といった6年前の08年北京五輪に出場した世代が主力に名を連ねた。

 10年南アフリカ大会では2年前の北京五輪メンバーから本田、長友、岡崎、森本の4人が入ったが、主力の大半は闘莉王、阿部勇樹、松井大輔、駒野友一、大久保嘉人ら6年前の04年アテネ五輪に出場した選手たちが占めた。五輪出場こそならなかったが川島永嗣、長谷部誠もアテネ世代に含まれる。

 06年ドイツ大会でも中田英寿、中村俊輔をはじめ、宮本恒靖、中田浩二、中澤佑二、稲本潤一、柳沢敦、高原直泰ら6年前の00年シドニー五輪メンバーが中心となった。同五輪に出場していないが坪井慶介、小野伸二、小笠原満男らもシドニー世代だった。

 02年日韓大会はやや特殊で、A代表と直近のシドニー五輪代表をフィリップ・トルシエ監督が率いたこともあり、オーバーエージ(OA)枠の楢崎正剛、森岡隆三も含めるとシドニー五輪メンバーがほぼそのままチームの主力となった。

 “6年間のサイクル”から考えると、18年ロシア大会は12年ロンドン五輪世代の選手が中心となり、今回の候補合宿で選出されたリオ五輪世代が主軸を担うのは22年カタール大会からになるだろう。

 ただ、日本がベスト16に進出した過去2度のW杯では、いずれも直近2年前の五輪出場メンバーがチームの主力に食い込んでいる。先に挙げた02年日韓大会はもちろん、10年南アフリカ大会も北京五輪を経験した本田、長友、岡崎はチームの主戦として存在感を放った。

 逆に14年ブラジル大会では、12年ロンドン五輪メンバーからOA枠の吉田を除くと6人がメンバー入りを果たしたが、主力と呼べたのは全3試合に出場(うち先発出場2試合)した山口蛍くらいだった。ロシアW杯で日本が躍進するためには、“6年間のサイクル”を打ち破るリオ五輪世代の台頭が欠かせない要素となってくる。

 候補合宿を終えた岩波は「高いレベルで練習できて刺激になったし、普段通りできればやれるという手応えもあった。僕らの世代ももっと(日本代表に)食い込めたら」と自信を深めた。浅野も「常に100%でやっていれば、またこういう場(日本代表)に戻ってこられる」と自らに奮起を促した。

 リオ五輪世代には他にも遠藤航(湘南)、大島僚太(川崎)、南野拓実(ザルツブルク)、久保裕也(ヤングボーイズ)ら逸材が揃う。3年後、彼らが日本代表の中核へと成長を遂げることが大いに期待される。

 その前にまずは来年1月のリオ五輪最終予選を兼ねたAFC・U-23選手権(カタール)で3位以内に入り、6大会連続10回目の五輪出場権を得ることが最優先課題となる。この険しい道のりを乗り越えた先に、ようやくロシアのピッチが見えてくる。(デイリースポーツ・山本直弘)

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