異例フロント兼任 高木CEOへの期待

 DDTの高木三四郎社長(45)が、1日からWRESTLE-1(W-1)のCEO(最高経営責任者)に就任した。狭いプロレス業界のライバル団体で、フロントを兼ねるのは異例中の異例。13年9月に旗揚げしたW-1も多団体時代に苦しむ中、路上プロレスや総選挙など、数々のアイデアでDDTを人気団体に押し上げた能力を買われた。

 7日の会見で、W-1の武藤敬司社長(52)は“業界再編”を目指し、合併も視野に入れていたと告白。「DDTにあっさり振られた」結果、高木社長の“補強”に成功した。

 武藤社長から「“家計簿”はすべて任せる」と託された高木CEOは会見で、3月末にオファーされたと明かし「DDTはメジャー団体がやらなかったことをやってうまくいった。プロレスの伝統的なスタイルでやっているところの経営に興味、好奇心があった」と受諾理由を説明した。席上では早速、興行面で大幅に減少した数を「採算を見直して」秋以降に増やす“てこ入れ”策を示した。

 DDTの社長として常に『ニュース』に敏感な高木CEOだけに、すでに新規事業も思いついていた。W-1の事務所が入る東京・新宿のGENスポーツパレスに複数のリングが常備されている利点を生かし、「プロレスラー養成所を設立したい。準備が整い次第やりたい」とプランを披露。武藤社長を校長、現役選手を講師に据える考えで、「ゆくゆくはプロレスの専門学校を作りたい」と日本初の試みに着手するとした。

 「DDTとまったく同じものをやっても、W-1のファンにも良くないし、DDTのファンも別だと思っている」。選手はこれまで通りそれぞれの道場で練習を積み、一線を画すという。CEOを受諾する際、“家計簿”を見たという高木氏は「『これはこのスーパーで大根を買った方がいい』とか、試算できたので引き受けさせてもらった」と告白。「もっと効率よく、施設にしても役立つものを持ってるので活用したい」と改善の余地があるとした。

 経営トップとして、シビアな判断が迫られるのが人員面。会見で所属選手について「現状は多い?少ない?」と聞かれると、「W-1を初めて見たのが4月1日の後楽園ホール大会。5月5日の後楽園大会は第1試合からメーンまで盛り上がった。現状で判断するまで至ってない」と話すにとどめた。

 16日の新宿FACE大会も来場し、きっちり視察した。通常は午前10時にW-1事務所に出社し、14時まで勤務。電車で頭の中を切り替えながらDDTに移動し、深夜まで働く。現役レスラーながら、練習は週1回に減らさざるを得なくなったという。兼任の激務に加え、DDT全大会出場を誓っており、多忙を極めているものの、やりがいから充実感が漂っている。

 「W-1の『W』はWORLDの『W』でもある」と世界を視野に入れた展開を目標に掲げつつ、「まずはイメージ戦略。いいイメージを作っていきたい。DDTとは違う方法で」と当面の課題を口にした。誰もが認める敏腕だけに、W-1の起爆剤となる可能性は十分。高木CEOには、DDTファンが驚き、悔しがるような仕掛けをW-1で見せて欲しい。

(デイリースポーツ・大島一郎)

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