堤GM就任で巨人が描くチーム像とは…

 読売新聞東京本社運動部長の堤辰佳氏が、巨人のゼネラルマネジャー(GM)兼編成本部長に就任することが発表された。これまで同職を兼任していた原沢敦球団代表は、代表職に専念することになった。

 シーズン途中では異例のGM交代劇。その背景には過去の補強失敗も含め、さまざまな問題が絡んでいるとみられるが、チームが「新旧交代」の時期に差し掛かっていながら、球団の“顔”となる選手が思うように育っていないことも、要因の一つといえそうだ。

 5月5日、子どもの日に行われた広島戦では先発9人中、生え抜きの選手は大田ひとりだけ。主力にけが人が続出していた事情もあったとはいえ、球団内には物足りなさを指摘する声もある。

 常勝を求められる球団で、生え抜きの選手を育成していくのは極めて難しいテーマである。関係者は「現場はどうしても短期的な強さを求める傾向があり、フロントは中長期的にチーム作りを考える。3、4年後、このチームの中心には誰がいるのか。勝ち続けながら育てる、これが理想」と話す。

 「3年後のチーム」を考えた時、主将や4番も任されている坂本が、真の“大黒柱”になってほしいという思いがあるだろう。スタメンで結果を出し始めた大田や橋本、阿部の後継捕手として期待される2年目の小林も、次世代の中心選手候補。2軍ではドラフト1位の岡本(智弁学園)や高卒2年目の和田を強化選手として試合に出場させ、将来のクリーンアップ候補として育成している。

 投手陣では当分の間はエースの菅野が中心となりそうだが、今季はドラフト3位の高木勇(三菱重工長崎)や19歳の田口ら、新世代の活躍も目立つ。こうした若い生え抜き選手を軸として、その脇を固める選手を補強していくのが、球団としての理想型だろう。

 今季から2軍の集客に力を入れ始めたのも、若手選手のモチベーションを高め、スキルアップにつなげてほしいという球団の思いから。4月25日に行われた阪神とのファーム交流試合では、ジャイアンツ球場の過去最多入場者数となる3646人が来場。立ち見客が出るほど盛況した試合で選手は奮起し、13安打13得点の猛攻で勝利した。

 堤GMには現場と球団の間に立ち、現有戦力のバランスを整えながら、将来を見据えたチーム作りをする役割が求められる。堤GMは「現場とのコミュニケーションも含め、チームの将来像とか、そういったものもこれから勉強したい」と話す。伝統ある読売巨人軍の“舵取り役”として、その責任は重大だ。(デイリースポーツ・佐藤啓)

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