国際的な野球振興へ~侍Jが記す第一歩

 その一歩が世界につながっていく-。昨年11月、野球日本代表・侍ジャパンなどの事業を行う「NPBエンタープライズ」が設立されたのを機に、その活動を多岐にわたって活発化させている。

 女子野球を含め、各世代の代表を「侍ジャパン」として統一。今年3月には、初めて欧州代表との強化試合を試みた。その中で1つ、注目したい活動が公式ホームページで連載されている「世界の野球」の特集だ。なぜ侍ジャパンで、そのテーマに着目したのか。

 NPBエンタープライズの加藤謙次郎広報は「代表の活動を盛り上げていく上では、対戦相手というのも欠かせないと思いました。中長期的に考えれば、いろいろな国との対戦も視野に入ってくる。日本のファンの人たちへ、これまで知る機会がなかった国々の野球事情を伝えたいと考えました」と説明した。

 野球はサッカーなどに比べ、世界的に見れば競技人口や競技国が少ない。トップレベルの世界大会もMLB主催の「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」や、今年11月に日台共催で初開催となる「プレミア12」があるものの、国際的な認知度が高いとは言い難いのが現状だ。

 ただ一般的には知られていなくとも、野球が根付きつつある国や地域があるのも事実。地道な活動だが、そうした国々を紹介する中で国際的に野球が広がりを見せるムーブメントのきっかけを作ることができれば…。そんな思いが、この企画には込められている。

 「海外青年協力隊やNPO法人の方など、海外での活動を通じて現地の子供たちに日本人が野球を教えた例が多いことも分かりました。そうした活動を知ることで、多くの人に世界の野球へ目を向けてもらいたいです」

 現在、公式ページではニュージーランド野球連盟ゼネラルマネジャー補佐を務める元ロッテ・清水直行氏の現地でのリポート、そして日本のNPO法人により野球が広められ、2020年の東京五輪での種目復活が実現された際の予選出場を目指すネパールの野球事情が特集されている。

 今後は、日本人として野中寿人氏が代表監督を務めるインドネシアなどを紹介する予定だ。「小さな活動ですが各国の野球が発展する一助となるかもしれない。またそうなったとき、侍ジャパンが中心となり引っ張っていければ最高ですね」と加藤広報は語る。

 侍ジャパンの事業成功が野球発展途上国への支援拡大につながり、野球の市場拡大が現地の企業などとの連携を生み急速な発展へつながる日が来れば…。小さな一歩となる特集を一読し、壮大な夢への期待を膨らませた。(デイリースポーツ・中田康博)

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