二刀流3年目、順調な大谷の唯一の弱点

 二刀流3年目の大谷は投打両面で順調な滑り出しを見せた。投手として開幕戦勝利から2連勝、野手としては出場2試合目、自己最速となるシーズン1号本塁打。目標でもある15勝、昨季の10本塁打以上の期待を抱かせる。ケガさえなく順調に1年通して出場できれば、十分可能な数字だろう。ただ、開幕戦で唯一の弱点かと思わせるハプニングがあったのも事実だ。

 六回。右ふくらはぎがつり、ベンチへ戻って応急処置を受けた。再びマウンドへ戻り、投球練習を再開したが、右足の異状は収まらなかった。本人にとっても悔しい降板となった。

 昨年から右ふくらはぎがつることがあった。昨季4月の初登板でも同様の症状が起こり、わずか3回で降板した。今年の開幕戦を含め4度目。肩、肘の故障がない大谷の唯一の不安な部分。黒木投手コーチによれば「いい投手、出力の高い投手ほど起こりやすい傾向がある」と言う。

 過去の事例でも、メジャー時代の松坂も右ふくらはぎのけいれんを起こしたことがある。強じんな下半身、土台のしっかりした一流投手に突然、起きることが多い。大谷も開幕戦のように、ここぞの試合、より一層の力が入る状況での登板時に危険度が高まっている。右足の蹴り足が強い分、けいれんを起こすことがある。

 昨年もあったことで、オフも対策には取り組んできたという。水分補給、食事面、下半身の筋力強化…などなど。本人も「今、できることをしっかりやっていきたい。いろいろ(対策は)あると思う」。現在でも対処法を考えている。

 野手としても出場機会がある大谷にとって、足がつることは大きなダメージとなる。例えば先発後、中1日を経ての野手スタメン。症状を起こした場合、打者としても下半身に粘りがなくなり、打撃に影響する可能性もあることがやっかいだ。

 危機意識を持ち過ぎたり、改善を深く考え過ぎることで、通常の投球に影響が出てくる懸念もあるという。黒木投手コーチは「相手をねじ伏せようとしている時に(右ふくらはぎを)気にして、集中できなくなるのが怖い。対策は常々してますけど、時間をかけてやるしかないです」。投球中に気にすることがないようにしなければいけないという。

 昨年末、大谷は投打で1週間に5試合出場への意欲を明かしたが、首脳陣は慎重な姿勢を見せる。栗山監督は「試合数を増やしたいのはあるけど、あいつの体の状態の見極めを間違わないようにしないといけない。ケガをさせないようにしないと。この2年間以上に丁寧にやることが重要」と細心の注意を払い、負担につながらないことを念頭に置く。

 我々一般人が睡眠中にふくらはぎがつり、翌朝は何てことない、というのはよくあることだが、大谷にとって、1年間二刀流で活躍するためには「こむらがえり」が癖にならないよう克服に取り組まなければいけない。

(デイリースポーツ・水足丈夫)

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