代表デビュー宇佐美の「ぶれない強さ」

 ついに花開いた瞬間だった。ハリル・ジャパンがスタートした今回の親善試合。G大阪のFW宇佐美貴史(22)が、やっとA代表デビュー、そして代表初ゴールを飾った。代表初招集から3年9カ月の年月を経て、ついにかなえた夢だった。

 国内3冠に尽力した昨季、日本代表に関した質問を受けるたびに宇佐美が言い続けてきた言葉がある。

 「代表に行くためには、チームで結果を出すしかない」

 記念すべき1号を沈めたウズベキスタン戦の後、2試合を終えての思いを尋ねられると、宇佐美は一呼吸置いてこう答えた。「やっぱり結果しかないですね」。そして続けた。

 「代表に行くためには、チームで結果を出すしかない」

 その言葉は変わらないんだ、と思っていたそのとき、初めて続きを聞いた。「代表に残るためには、代表での結果が必要だと思う。誰もが結果を求めて仲間としてやる中で、結果を出すことは難しかったですけど、1つ、ああいう形で出せたのは良かった。今後につながると思う」。

 巡ってきた2度目のチャンスだった。右サイドからドリブルで仕掛け、鋭く右足を振り抜く。「(ポストに直撃した)このあいだの失敗をふまえて、今回は強いボールを蹴ろうと、一瞬で判断できた」。初戦で結果を出せなかった悔しさを含め、宇佐美らしさの詰まったゴール。相手が疲弊した後半途中の投入ではあったが、思いは形になった。

 若くして“天才”“至宝”と言われた。19歳で代表初招集。その後、ドイツに渡ったのも「常に代表を意識していたから」だ。13年に日本に戻ってからも、名前こそなかなか挙がらなかったが、ブラジルW杯を諦めたわけではなかった。一発逆転を夢見てW杯イヤーに向かうシーズン開幕前、14年の2月に起きた左足の大けが。思い描いていた夢は、幻と化した。その後も苦しい時間は長かった。こちらも仕事とはいえ、代表の話を聞きにくいと感じる時期は、確かにあった。

 「楽しかった」と振り返ったデビュー戦。「やっと1点取れた」と、少しだけ浸った初ゴール。回り道だったのかもしれない。しかしそれもきっと、FWとして結果だけを追い求める「ぶれない強さ」を教えてくれた。

 チームに戻っての戦いがまた始まる。代表を知った宇佐美は「前の選手は点を取らないと生きていけない。僕らはまだぬるい部分がある」と言った。彼はここからどんな進化を遂げていくのか。“結果”を出し続けた先にきっとロシアW杯は続いている。

(デイリースポーツ・國島紗希)

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