黒田「ミスター完投」として復活するか

 少し驚きの発言だった。それは22日、ソフトバンクとのオープン戦後。取材に応じた黒田博樹投手は「シーズンならもう1回、2回はいけた」「マウンドに上がったら勝ちにいく。勝たなければならない。どこまで体が続くか分からないから、(シーズン始めから)いける時はいきたい」と振り返ったからだ。

 1月の自主トレ公開で、調整法について黒田はこんな話をしていた。

 「監督やピッチングコーチとこれから話をしていかないといけない。開幕に100%(の状態に)持って行くかどうかも、自分の中でいろいろ考えながらやっていかないといけない。一番大事なのは8月、9月だと思うので、そこでフル回転できるような調整。僕の中ではそういうイメージですね」

 この言葉からも分かるように、見据えていたのはシーズン佳境。優勝争いを想定して、ヤマ場でフル回転する決意を固めていた。だが、開幕を目前に序盤からの全開スタートを示唆。22日のオープン戦最終登板も、昨季の日本一打線に、宝刀ツーシームで凡打のヤマを築いた。7回6安打無失点。球数は92球で、1イニング13球計算。十分に9回を投げきれる結果、内容だ。

 「黒田=完投」。海を渡る前は代名詞でもあった。過去の数字を見れば、改めてそのすごさが分かる。初めて2桁勝利を挙げた2001年以降の完投数を、ここに記しておく。

 01年…13(リーグ1位)

 02年…8(同1位)

 03年…8(同2位)

 04年…7(同1位)

 05年…11(同1位)

 06年…7(同2位)

 07年…7(同1位)

 メジャー移籍後は、12年の3完投が最多。数字だけ見れば、日本復帰後の完投に疑問符がつく。メジャーの先発投手は100球…。そんなイメージもある。だが、黒田は言う。「100球、100球と言われてますけど、中4日で回るから100球。日本では中5日、6日とあくのであれば、球数はそんなに気にしなくてもいい」。黒田は地元マツダで、3月29日のヤクルト戦に登板後、しばらくは中6日、場合によっては中5日で登板する予定。ミスター完投復活に支障はない。

 チームは3勝7敗2分け。10年ぶりにオープン戦最下位となった。だがその「3勝」は、いずれも黒田が先発した試合。緒方監督も「今シーズンどれだけ、チームに力と勇気を与えてくれるか。彼の存在なくして、今年の戦いはない」と、絶大なる信頼を寄せている。

 メジャーでの完投数は7年でわずか6。だが日本では11年で74を誇る。01年は27試合の登板で13完投。「あとは監督の方針だけど、自分としては準備をしておきたい」と、完投を念頭に置いた調整も続けてきた。

 チームは24年ぶりの悲願へと挑む1年。ついに開幕まで1週間を切った。覚悟と責任を持って戦う40歳、日米通算19年目のシーズン。初登板から完投…いや、完封勝利が見られるかもしれない。

(デイリースポーツ・田中政行)

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