1D 人気の秘密はK-POPと対極に

 英国の男性5人組グループ、ワン・ダイレクション(1D)が、2度目となる来日ツアー「ON THE ROAD AGAIN TOUR 2015」を大成功させた。

 6公演で20万人を動員。会場では若い女性が熱狂的な黄色い声援を飛ばし、ペンライトがきらめき、メンバーの名前が入ったうちわを振った。

 2010年の結成から5年弱で、来日公演はわずかに2度しかない。それでも、昨年11月に発売したアルバム「FOUR」はオリコン1位を獲得し、これまで4枚のアルバムは累計170万枚を売り上げる。本国や英語圏での人気は当然としても、日本のファンをここまで熱狂させる理由はどこにあるのだろうか。

 近年、海外の男性アイドルグループが日本で人気が爆発した例といえば、K-POP勢だ。東方神起やSUPER JUNIORらを筆頭に、髪も服もカチッと決め、全員がそろったフォーメーションダンスを踊るのが特徴的。小中学生のころから所属事務所で特訓を受けてきたダンスや歌唱力は、デビュー時にはすでに完成度が高く、観客を圧倒する。

 完璧さと徹底的な様式美を追求するK-POPに対して、1Dのライブは真逆だ。Tシャツやネルシャツにジーパンという普段着スタイル。メンバーはボサボサの髪をかき上げながら、ステージ上を好きなように歩き回るだけ。つまり、まったく、踊らない。歌唱力は高いが、それで勝負をしているとは思えない。

 ファンの声を聞くと「かっこいいのに親しみがある」「歌がめちゃくちゃうまいわけじゃないけど、チャーミングでかわいい」などなど。確かにステージ上でのラフな振る舞いは“いたずら好きなやんちゃなイケメンのお兄ちゃん”という感じ。折り目正しい雰囲気のK-POP勢とも、マッチョなノリとも違うあたりに、親しみと魅力があふれているのだろう。

 記者が見た1日のさいたまスーパーアリーナでのライブでは、ハリー・スタイルズが「コンニチワ、トーキョー!ゲンキデスカー!ミンナ、チョーカワイイ!」と日本語であいさつ。その後もメンバーが代わる代わる日本語で「ダイスキー!」「サイコー!」と叫ぶなど、知っている言葉を並べるさまが、同性の目からも愛らしかった。NTT ドコモのCM曲「ストーリー・オブ・マイ・ライフ」を始め良曲も多かったのも印象的だった。

 時系列で見ると、2009~11年にK-POPブームのピークが来て、それ以降は人気が落ち着いた。1Dが初来日したのは13年。入れ替わるようなタイミングで新星があらわれた。もちろん、1DがK-POPを意識しているはずはなく、ただの偶然。とはいえ、結果的にK-POPのアンチテーゼとして、人気を獲得した形となった。

(デイリースポーツ・杉村峰達)

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