無敗クルミナル 狭き門をこじ開けろ!

 今週から、3歳牡馬&牝馬のクラシック出走権をかけたトライアルレースが始まる。関係者内で話題に上がるのが、賞金のボーダーライン。G1への出走切符をめぐる争いは、かつてないほど激しさを増している。

 2月22日までの東京&京都開催終了時で、2勝以上を挙げた3歳オープン馬は、栗東所属が79頭、美浦所属が45頭。昨年同時期は同73頭&39頭、一昨年は同73頭&42頭と増加傾向にある。毎年、抽選で何頭かが出走できる2勝馬(収得賞金900万円の馬)も、今年はクラシック参戦が危ぶまれている。

 その要因のひとつに、新たな重賞の存在がある。昨年から、それまでオープン特別だったホープフルSがG2に、京都2歳SがG3となり、いちょうSが新設重賞として生まれ変わった。ホープフルSは一昨年まであったラジオNIKKEI杯2歳S(G3)が前身とはいえ、賞金は増額され、高額賞金馬の誕生にひと役買っている。重賞は2着馬も収得賞金を上積みできるため、オープン馬が増えるのも自然な流れだろう。

 中途半端な収得賞金ではクラシック出走が危ぶまれると、優先出走権を求め、オープン馬も続々とトライアルに参戦を表明している。既に実績を持つ馬同士のハイレベルな争いが期待できるだけに、ファンにとっては歓迎材料かもしれない。

 一方、気性難や体質の弱さでデビューが遅れた素質馬には、厳しい現状だ。例えば、96年1月5日デビューで、新馬戦、すみれSを連勝し、3戦無敗でダービーを制したフサイチコンコルド。度重なる熱発に悩まされた同馬のダービー前までの収得賞金を、15年現在の賞金額で計算すると1400万円になる。今年の情勢だと、出走すらも難しいと言わざるを得ない。

 そういう意味でも注目したい存在が、今週のチューリップ賞(7日・阪神)に参戦するクルミナル(牝3歳、栗東・須貝尚介厩舎)だ。気性面の難しさもあって、デビューしたのは、フサイチコンコルドよりも遅い年明けの1月25日。そこから新馬戦、エルフィンSと無傷の2連勝を飾り、一気に牝馬クラシック戦線の有力馬に躍り出た。

 焦らずにじっくりと調整した陣営の判断が奏功し、秘めたる潜在能力が目覚めつつある。早期デビュー、早期の賞金加算がトレンドとなった現在のクラシック出走権争いに、風穴を開けるのか-。今週は、年明けデビューの無敗馬の走りに注目したい。(デイリースポーツ・大西修平)

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