ベビメ 人気の秘密は「語り欲」の刺激

 昨年、米歌姫レディー・ガガの世界ツアーのオープニングアクトを務めたのを始め、海外での人気が話題となった3人組メタルダンスユニット「BABYMETAL」。今年は国内での“逆輸入”人気が爆発寸前だ。今月10日には、さいたまスーパーアリーナで新春最初のライブを開催し、ファン2万人を熱狂させた。

 公演もさることながら、盛り上がったのが、終演後の会場近くのファミリーレストランだった。観客がライブの感想や、平均年齢15・7歳の少女たちについて熱い議論をぶつけ合っていた。

 初期のAKB48が「会いに行けるアイドル」、ももいろクローバーZが「今会えるアイドル」と自ら紹介していたが、2015年のBABYMETAL(ベビメ)は「語りたくなるアイドル」なのである。

 ファンがベビメを語りたくなる現象は、ネット上が分かりやすい。例えば「ギミチョコ!!」という3人の代表曲がある。動画投稿サイトYouTubeでは、同曲の公式ライブ動画の再生回数は2100万回を超える。しかし驚きなのは、コメント数が約3万7000もあることだ。

 再生回数だけなら例えば、AKB48の「ヘビーローテーション」のMVは1億1200万回と、同曲の5倍以上だ。しかし、コメント数となると「ヘビー-」は約1万8000。「ギミ-」がダブルスコアで逆転している。

 もちろん、AKBはさまざまなSNSを利用しているなど、単純比較はできない。だとしても、楽曲の知名度の圧倒的差からすれば、ベビメがいかに“語られているか”を示しているだろう。ちなみに3人の場合は、同曲以外にも人気曲「メギツネ」も再生回数は1200万回だが、コメント数は1万7000を超えている。

 3人は存在からしてファンの“語り欲”をあおっている。2010年、「アイドルとヘビーメタルが好きだった」というプロデューサーが「アイドルとメタルのファンには共通項がある」という発案から結成された。メタルとアイドルの融合、しかも“芸能界の大人”によるコンセプトありきのユニットは、メタル、アイドル双方のフリークによる賛否を巻き起こす要素がたっぷりだった。

 楽曲やパフォーマンスにも語り欲をくすぐる仕掛けがちりばめられている。初アルバムに収録の「紅月」はタイトルからして、X JAPANの「紅」へのオマージュが込められていたり、人気曲「4の歌」には米大御所メタルバンド、メタリカの楽曲を思わせるギターリフが登場したりと、メタル通を「ニヤリ」とさせるポイントがたくさん。ファンの間では、元ネタを探すサイトも盛り上がっている。

 誰もがツイッターやフェイスブックなどSNSを利用している現在は、昔に比べて“語る場”が多くある。AKBが選抜総選挙やさまざまなハプニングで、ファンの議論を呼ぶことで、大きくなっていったように、“語り欲を刺激する”というのは、人気獲得の重要な要素だ。

 7日に発売したライブアルバム「LIVE AT BUDOKAN~RED NIGHT~」もオリコン初登場3位とヒットとなったBABYMETALは先日、今年6月に自身最大規模のライブを幕張メッセで開催することを発表。国内ツアーの期待も大きい。

 日本中で3人を語り合う光景が見られる日も近そうだ。

(デイリースポーツ・杉村峰達)

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