能年玲奈“脱あまちゃん”からの宣伝力

 女優の能年玲奈(21)が18日に都内で行われた主演映画「海月(くらげ)姫」の舞台あいさつに登壇し、ツイッターで募集したファンからの質問に答えた。Q&Aスタイルのイベントを提案したのは、他ならぬ能年という。かつてはトーク中に“フリーズ”してしまうこともあり、ネット上で話題になったが、宣伝への意識の高まりは印象深い。それは“脱あまちゃん”が、もたらした効果だった。

 記者は昨年8月に公開された主演作「ホットロード」のため同年7月に、「海月姫」のため同年12月に能年を取材したが、5カ月を経た成長は顕著だった。「海月姫」のインタビューが始まって、すぐに「あれ?」と驚いた。もちろん、別人のように話しまくるわけではないが、考え込んでしまい沈黙の多かった夏と比べ、格段にしゃべるのがうまくなっていた。

 そう思ったことを率直に伝えると能年は「(宣伝への意識が)すごく変わりました」と答えた。「主演というお仕事は、すごく重要なものなんだなってことが身に染みて。こうやってお話するときも、どう話せば読んでくださる方に楽しんでいただけるかを、すごく考えるようになりました」と話した。2本の大作映画に立て続けに主演した2014年で得たものが、この“トーク力の成長”だった。

 言葉に独自の感性を持っており、発言がそのままで見出しになる破壊力が能年の魅力。一方で“危うさ”もあった。独特の間で話すため、昨年8月の「ホットロード」のイベントでは、司会の日本テレビ・藤井恒久アナウンサー(45)が「(話しているとき)ところどころ時が止まるのは…?」と突っ込んだほど。能年自身も自覚しており、そんなときの精神状態を、こう説明してくれた。

 「今でも、どう言ったらいいんだろうって止まっちゃうことが全然あるんですけど、そんなときはいろんな言葉が頭に浮かんできて、どれがその場に適切なのか考えているうちに時間が過ぎていく感じでした。『何だ、この時間は!』みたいな。でも最近は、こう言っても平気なのかも、と気付いてきたというか、前はちょっと考え込み過ぎてたのかなというのはあります。今はここまで言っても平気かなってのが分かってきました」

 13年はNHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」のヒロイン・天野アキとして国民的知名度を得た1年だった。対して、14年は色濃くなりすぎた“あまちゃん色”を消す意味もあり、慎重に作品を選んで「ホットロード」「海月姫」のほかはフジテレビ系の人気オムニバスドラマ「世にも奇妙な物語」の1編に出た程度。主演映画2作での新聞、雑誌、テレビなどの総取材数は200本を超えるという。じっくりと1作に向き合い、宣伝に時間をかけたことで、作品を背負うことへの意識は高まった。

 「海月姫」では、昨年末のテレビ朝日系「いきなり!黄金伝説」の特番で離島での自給自足0円生活に挑戦。東京・渋谷の映画館「シネクイント」限定ながら、コスプレ割りやヒゲ割りなど個性的なプランを次々と提案し、有志にチラシを送り配布してもらう“チラシ祭り”まで実現させた。

 Q&Aを行ったこの日の司会で共演の篠原ともえ(35)が「宣伝を(ファン)参加型でやろういうのは能年ちゃんのアイデアなんです。宣伝すごく頑張りましたね」と明かしたように、ファンを巻き込んで作品を盛り上げようとしてきた。

 興業的には苦戦中の「海月姫」だが、関係者によると「(週が進んでも動員の)下がり幅が少ない」という。15年の出演作はまだ発表されていないが、役者としても“宣伝隊長”としても、どんな一手を見せてくれるか注目したい。

(デイリースポーツ・古宮正崇)

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