大震災から20年 オリ福良コーチの思い

 オリックス・福良淳一ヘッドコーチは阪神・淡路大震災から20年を迎えた17日、節目の年に向けた意気込みを口にした。

 「何年たっても忘れてはいけない日だと思う」

 1995年1月17日。あの日は自宅のある神戸市垂水区にいた。宮古島で行われる合同自主トレに向けて出発する日だった。早朝5時過ぎに自宅を出たが、忘れ物を思い出して、戻ったところに大きな揺れに見舞われたという。

 「自宅周辺はそれほど大きな被害はなかったのと、ほかの選手と待ち合わせをしていたので、待たせてはいけないと思って出掛けた。偶然、流しのタクシーがつかまったので、三宮に向かったのだけれど…」

 到着した街はかつての面影をとどめていなかった。当然、空港に向かうこともできず、やむなく帰宅することにしたが、交通手段は皆無だった。

 「歩くしかなった。途中三宮から西に向かって長田の前を通ったらもう…」

 漏れ出たガスのにおい、火事、うねる道路…何もかもが悲惨だった。家族の待つ自宅まで20キロ以上を歩いて戻った。

 それからの日々は自主トレどころではなかった。自宅は水が止まった。水を求めて神戸市北区に住む同僚の家まで向かったこともあった。このままでは練習にならないと実家の宮崎へ車で帰ることにした。

 「真っ暗なんですよ。道が。西の方は被害が少なかったはずなんですけど。岡山に入って街の明かりが見えてホッとしたことを覚えていますね」

 キャンプ地へ選手は各地からバラバラで入った。「どうなるんだろうか」という不安を抱えてのスタート。それでも開幕を迎えるとたくさんのファンがグリーンスタジアム神戸(現ほっともっと神戸)を埋め尽くした。ファンに勇気をもらい、ファンと一つになって球団初優勝へと突っ走った。だれにとっても忘れられないシーズンになった。

 あれから20年。ヘッドコーチという立場でシーズンを迎える。

 「20年だからというのではないけど、区切りの年ですから勝ちにこだわってあの感動をみんなで喜べたらいいと思います」

 かつてのV戦士は19年ぶりの優勝へ思いを新たにした。(デイリースポーツ・達野淳司)

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