6連覇帝京大、打倒トップリーグなるか

 10日に東京・調布の味の素スタジアムで行われた第51回全国大学ラグビー選手権決勝は、帝京大が7トライを奪う猛攻を見せ、50-7で筑波大に大勝。6年連続6回目の優勝を飾った。

 50得点は99年の第35回大会で、関東学院大が明大相手に47得点したのを更新する決勝戦での史上最多得点。さらに43点差も06年の第42回大会で、早大が41-5で関東学院大につけた36点差を超える最大得点差となり、まさに記録ずくめのV6達成でもあった。

 筑波大もボールを継続して攻める時間帯もあったのだが、帝京大の強烈なプレッシャーになかなか突破口が開けず、後半7分に日本代表のWTB福岡堅樹(3年)の1トライのみに終わってしまった。

 しかし、負傷者が続出して関東大学対抗戦Aグループでは4連敗スタートという最悪の状況から立て直し、選手権のファイナルまで進んだことは高く評価されていいだろう。特に準決勝は東海大にリードされながら、終盤に13点差を引っくり返す逆転劇を演じてみせた。

 勢いづいて決勝に進出した筑波大が相手だったからこそ、帝京大もノーサイドの瞬間まで一切気を緩めず全力でワンプレーに集中していた。だからこそ、点差は開いてもゲームの緊迫感は決して失われていなかったと思う。

 帝京大のSH流大(ながれ・ゆたか)主将も、「結果的にこのスコアになりましたが、ひとつひとつのプレーを積み重ねただけ」と試合後の会見で語っており、得点よりも試合内容にこだわっていたことを強調していた。

 シーズン前からダントツの優勝候補に挙げられていたとはいえ、ここまで完全無欠な強さを見せつけられると、細かい理由を挙げていくと切りがないようにも感じる。毎年のように選手が入れ替わる学生スポーツで連覇を続けるのは至難といわれる。実際に大学選手権でも、これまでは83~85年を制した同志社大の3連覇が最高だった。それをはるかにしのぐ6連覇はすでに快挙というしかない。

 決勝戦を前に、相手のエネルギーを奪うような激しい攻防というゲームプランを要求した岩出雅之監督は、「8割方は良かったと思うが、終盤には少し休んでしまったところがあった」と満点を与えなかった。それでも、「勝てたことにホッとしています」と少なからず大本命のプレッシャーから解放されたことで、本音をわずかにのぞかせた。

 学生相手には2年間負け知らずとはいえ、スカウティングやコンディショニング、そしてモチベーションを高めるためのチームマネジメントなど強化を進めるために、常にあらゆる分野で変化、改善を追求してきた。「使命感の中で(連覇を)達成できたことはもちろんうれしい。ただ、V1、2の頃とは明らかにレベルは違う」と、同監督はクラブとしての進化に確かな手応えをつかんでいる。

 ラグビー界で7連覇といえば、すぐに思い浮かぶのが新日鉄釜石(79~85年)、神戸製鋼(89~95年)が日本選手権で達成したV7だろう。

 フッカー坂手淳史(3年)を中心にSO松田力也(2年)、さらに決勝戦の後半14分、指揮官に「あれで勝利を確信した」と言わしめる決定的なトライを奪ったWTB尾崎晟也(1年)と、4年生が抜けても戦力は充実している。カテゴリーは違うものの、伝説の数字である“7連覇”に挑む来季が今から楽しみだ。

 その前に帝京大にはもうひとつの目標に挑む戦いが待ち受けている。2月8日に開幕する第52回日本選手権では、昨季から掲げてきた“打倒トップリーグ”にチャレンジする。学生がトップリーグのチームに勝ったのは、06年に早大がトヨタ自動車に28-24で破ったのが最後。帝京大は1回戦でトップリーグの5~12位のチームによって争われるワイルドカードの勝者と対戦する。

 シーズン中からトップリーグ勢と合同練習を行い準備には余念がない。WTB磯田泰成(4年)は「ずっとトップリーグのレベルを意識して練習してきた」と高い意気込みを示した。どんな戦いを見せてくれるのか、胸の躍るような試合が見られそうだ。

(デイリースポーツ・北島稔大)

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