阪神・藤浪の姿に見えたオフの意義

 シーズン中であれば、見られないような光景だった。11月29日、J1のC大阪と鹿島の一戦が行われたヤンマースタジアム長居に、藤浪の姿があった。いつものタテジマではなく、桜色のユニホームを身にまとって。

 「野球とは全然、違う雰囲気で楽しかったです。シーズン中はなかなかできないですし、サッカーに限らず、いろんなスポーツを見てみたい。自分の中で頑張ろうとモチベーションになります」

 そもそものきっかけは、同級生でもあるセレッソの南野拓実の存在だ。5月に南野がプライベートで甲子園を訪れ、藤浪のユニホームを着て応援してくれていたのをインターネットで知った。だから、お返しとばかりに南野のユニホームを買って応援に足を運んだ。

 試合はセレッソが敗れてJ2降格が決定。ただ、感じるものはあった。「負けてしまったのは残念でしたけど。同級生は純粋に頑張ってほしいという思いもあるし、同世代が他のスポーツで活躍するのはうれしいです」。人生初のサッカー観戦。試合結果は残念なものとなったが、大きな刺激を受けてスタジアムを後にしていた。

 藤浪自身も話したように、シーズン中にはできないようなことに取り組めるのがオフの期間だ。違う世界を見て学ぶことは、結果的に野球につながることも多く、選手によっては、この時期だからこその様々な自主トレを行うこともある。

 阪神OBの下柳剛氏は現役時代、格闘家の桜庭和志のジムで格闘トレに取り組むことが多かった。関本も、過去に格闘家の道場で自主トレを行った経験がある。また、同じく阪神OBの金本氏や、広島に移籍した新井が毎オフ、護摩行を行っていることは有名だ。

 肉体面で言えば、普段の野球のトレーニングとは違う動きをすることで、新たな発見も生まれる。護摩行のように精神面に働きかけるものもある。

 チームによって差はあるが、日本シリーズまで戦えば、オフシーズンは11月から2月1日のキャンプ初日までの3カ月となる。長いようで短い。まずはシーズンの疲れを癒やすことも大切だが、別の世界に新たな刺激を求めることも、次のシーズンに向けた重要な準備となる。(デイリースポーツ・道辻 歩)

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