高校野球タイブレーク導入への賛否理由

 第1回全国中等学校優勝野球大会(現・高校野球選手権大会)が開催されてから来年で100年となる。

 野球の日本伝来はさらに40年以上前。最初のルールは、投手は下手投げで、打者の指定した場所に投げなければならない、というものだった。

 以後、野球の本質的なルールにもさまざまな手が加えられて、今の形になった。

 そして来年は、高校野球に限ったローカル・ルールが大きく変わる。

 タイブレーク制度の導入だ。現時点では、硬式については直接甲子園に結びつかない、春の地区大会(都道府県大会で上位に進出した学校が出場するもの)での、全国一律導入が決定した。

 ちなみに都道府県大会(春に限らず)でのタイブレークについては、各地区の裁量によるため、導入を妨げることはない。

 かなり語られているので、詳細は省くが、眼目は選手の健康維持と大会のスムーズな運営。現行の、延長十五回で決着がつかない場合は翌日、再試合というルールが、その眼目の両方に引っかかるため、高野連は夏前から改善策を考えてきた。

 結果、「ベストではないかも知れないが、これ以上のものが現時点で見当たらない」(相沢孝行理事)ということで、タイブレーク導入を決めた。

 当然、将来的にはセンバツ、選手権の両甲子園大会を含む、すべての大会に適用するため、まずは春の地区大会で様子を見て、検討する材料を集める、という作業に入る。

 オピニオン記事なので、賛否を書いた方がいいのだが、記者の中にも反対と賛成が混在する。

 まず反対の理由は、特に最後の夏を迎えた3年生の心情についてだ。タイブレークに持ち込まれるということは、3年間のすべてをここに集約し、「負けたくない」の思いがぶつかり合った結果、規定イニングまで決着がつかないような大熱戦のはずだ。

 そこでいったん試合が止まり、次の回は与えられた条件下で再開、そして決着となる。拍子抜けしなければいいのだが、直前までの雰囲気と、決着シーンの落差がどうも心地悪い。

 逆に、賛成の理由。これは高野連の、ここまでの在り方にも共通するが「とりあえず、やってみよう」という考え方だ。ここには、ずっと共感を覚えてきた。

 下準備としての調査や議論はしっかりと行う。そして、記者の挙げた反対の理由などは十分承知した上で、それでも『よかれ』と思うアクションについては、ためらうことなく断行する。これは、心地よい。

 しかも、利益を追求しての新ルールではなく、選手ありき、の思いは通底している。ここがぶれていない以上、まずは行動して、よくないところは修正する、もしくはもっといいルールを考え出すことに期待したいし、そうなると信じている。(デイリースポーツ・西下 純)

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