戦力外高橋信二の野球観「腐らず全う」

 今年、戦力外となった10選手がオリックスを去った。通告を受けた選手たちの表情はさまざまだ。その中に、36歳の高橋信二内野手の名前もあった。

 今季は1軍にけが人が少なく、最後まで首位争いを繰り広げたオリックス。1軍が好調であるほど、2軍選手は昇格のチャンスは少なくなった。

 日本ハム時代の2009年にベストナインとゴールデングラブ賞を獲得した高橋にとっても、厳しい現実は同じ。移籍3年目の今季は1軍出場10試合で30打数6安打だった。

 神戸市西区の青濤館で戦力外通告を受けた後は、思いの外すっきりした表情でこれまでの気持ちを語った。

 「このチームでやるべきことはやり切った。1軍でも2軍でも、腐ることなく最後まで全うした。いつユニホームを脱げと言われるかという中でやったので、後悔はない」。

 同じ場で戦力外通告を受け、涙していた若手選手に次のような声をかけたという。

 「涙が出ると言うことは、悔いが残っているんだろう。1日1日、もうこれで野球人生が終わってもいいくらいの気持ちで必死に練習したか?そうじゃなかったから涙が出るんだろう」。

 3球団を渡り歩き、計14年間のプロ生活で栄光と厳しさを味わったベテランの言葉には重みがあった。「シーズン中、自分から身を引くべきか葛藤はあった。でも、最後までやらなければならないという気持ちもあった。オリックスには3年間、感謝しかないですよ」と振り返った。

 11月9日のトライアウトに参加し、現在は球団から声がかかるのを待つ状態。36歳という年齢からも、厳しい状況なのは自身もよく分かっている。

 しかし「最後を1軍で過ごしたいという気はある。野球人として、最後までプレーしたい」と話した表情に、選手生活へのどん欲なこだわりが映し出されていた。(デイリースポーツ・中野裕美子)

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