神・呉昇桓が1年目から活躍できたわけ

 期待通りの活躍と言っていいだろう。阪神の守護神・呉昇桓が、チームトップ64試合に登板し2勝4敗、防御率1・76。39セーブを挙げ最優秀救援投手のタイトルを獲得した。CSではファーストSからファイナルSまで6試合すべてに登板。チームの9年ぶり日本シリーズ進出に大きく貢献し、文句なしのCSMVPに輝いた。

 来日1年目から異国で活躍できた要因について本人は「海外の野球、生活に慣れることが大事」と振り返る。言葉が通じず、野球のスタイルも異なるが、海外で成功するために最も必要な「柔軟性」を持ち合わせていた。

 投球スタイルは「石直球」と称される直球一辺倒ではなく、カットボール、ツーシームなど変化球を交えて、新境地を切り開いた。

 「今季はツーシームを多めに投げました。変化球はいいコースに投げたらバッターは振ってくれるけど、まだ完璧ではない。昔より良くなっているけど、もっと努力していいボールにしたいと思う」

 「4敗」という数字が示すように、決して順風満帆なシーズンではなかった。交流戦ではパ・リーグの打者に中途半端な高さの直球を痛打された。それでもセーブ失敗の翌日は必ず無失点に抑える。「失敗した試合は戻ってこない。翌日には気持ちを切り替えることが重要」と前を向く精神的な強さがあった。

 特に終盤からCSにかけての活躍はすさまじかった。連投、イニングまたぎをいとわず、まさに石仏の表情で連日、マウンドに立ち続けた。短期決戦での絶対守護神の重要性を改めて知らしめた。

 日本の生活、チームにもすぐに溶け込んだという。報道陣の前ではほとんど日本語を話さないが、チームメートとは、片言の単語を並べて言葉を交わす。もともと親日家。休日は江口通訳と大好きな寿司、焼き肉を食べ歩いた。名古屋遠征では必ず大好物のひつまぶしに舌鼓を打った。

 11月3日、呉昇桓は関西国際空港から帰国した。そこで残した言葉がまた、頼もしい。「周りの人から今年1年やったから、来年はもっと楽にできるだろうと言われるが他のチームも自分を知った。より緊張感を持ってやっていきたい」。来季に向け、すでに落ちる球種の習得に励んでいるという。野球に対して真摯に向き合う姿勢は若手の模範。2年目の活躍も疑いようがない。

(デイリースポーツ・杉原史恭)

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