秋山監督辞任から見える監督業の過酷さ

 CSファイナルSの開幕を翌日に控えた14日、ソフトバンク・秋山監督が辞任を発表した。リーグ制覇を成し遂げながら、突然の辞任表明。その理由について、指導者として節目の10年を終えたことを挙げ、球団の慰留も固辞した。

 今季は昨年日本一の楽天・星野監督、チームを2年連続でクライマックスシリーズに導いた広島・野村監督も電撃辞任した。最下位に低迷したヤクルト・小川監督、シーズン途中に辞任した西武・伊原監督を含め、すでに5球団で監督の退任が発表されている。1シーズンで5人の監督が辞めるのは、楽天・野村監督や広島・ブラウン監督などが辞任した09年以来の多さだ。

 秋山監督の場合はチームが大型補強をして臨んだシーズンで、重圧は相当なものだったのかもしれない。かつて阪急や日本ハムで監督を歴任した上田利治氏(デイリースポーツ評論家)は「チーム状態が悪い時は本当につらい。調子の悪い選手のことも、常に気にかかる。休みは少ないし、気分転換をするのも難しい。苦しさを分かち合い、何でも話せる参謀役は絶対に必要」と監督業の厳しさを口にする。

 激闘が続いたパ・リーグのCSファーストS、オリックス対日本ハム。第2戦に逆転で敗れ、タイに持ち込まれた日本ハムのベンチ裏。試合後に栗山監督が「イタタ…」と胃痛に顔をゆがめ、腹部をさすりながら部屋に入っていく姿を目の当たりにした。

 その翌日、秋山監督の辞任という一報に栗山監督は「ショックだよね。でも、大変な仕事だというのは分かるし、俺も長くはできないなと思う時はあるから…」と、神妙な表情で漏らしていた。

 プロ野球の監督が胃痛薬や睡眠薬を服用しているという話はよく耳にする。昨年8月、9連敗を喫していたDeNA・中畑監督は連敗中に4キロも体重が増加。「食わないとやってらんないんだ」と話していたのを聞いたこともある。

 今季、終盤に大失速しながら最終戦でリーグ制覇を成し遂げたソフトバンク。普段は感情を表に出さない秋山監督の涙も印象的だった。プロ野球の監督は日本で12人しかできない職業とはいえ、その過酷さは想像するに余りある。

(デイリースポーツ・佐藤啓)

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