井岡一族“6度目の正直”なるか…

 元世界2階級王者でWBA世界フライ級3位・井岡一翔(25)=井岡=の悲願、世界3階級制覇は険しい道となりそうだ。

 14日に大阪市内のジムで公開練習。大みそかに計画する3階級制覇の再挑戦に関し、父でプロモーターの井岡一法会長はWBA、WBOに絞り込み、今後の交渉を行うことを明かした。

 5月に挑戦し、判定で敗れたIBFの世界同級王者・アムナト・ルエンロン(タイ)が当初、有力候補と思われたが、今回はまとまらず、再戦は見送られた。八重樫東(大橋)を粉砕したWBC王者のローマン・ゴンサレス(ニカラグア)は11月22日に防衛戦が決まっている。

 現在、軽量級でも最激戦区のフライ級。残る2団体王者にオファーをかけていくことになるが、対戦が決まっても王座奪取は容易でない相手がそろう。

 WBO王者はファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)。スーパー王者に君臨するWBAとの統一王者で、ライトフライ級時代には「軽量級最強」と呼ばれるゴンサレスと互角の勝負を演じた強打者だ。

 WBA正規王者のファン・カルロス・レベコ(アルゼンチン)も35戦34勝(18KO)1敗の戦績を誇り、すでに同級王座を7度防衛中だ。10月31日に暫定王者のヨーッモンコン・ウォー・センテープ(タイ)と王座統一戦を予定している。どちらが勝っても、難敵となるのは間違いない。

 アムナト戦で喫したプロ初黒星を糧に一翔はフライ級仕様へと変貌中だ。9月16日、後楽園ホールで行われたパブロ・カリージョ(コロンビア)との再起戦では、足でリングを駆け回るニュースタイルを投入。快勝ではあったものの、一法会長は「まだ60%」と、完成には至らない。

 4ラウンドの公開スパーでは前後の出入り、左右の動きなど「打たれずに打つ」を実践しよう、という狙いは見えた。だが足を気にするあまりか、手数は少なく会長から叱せきも飛んでいた。

 ミニマム、ライトフライ級までの一翔は前傾姿勢からプレッシャーをかけ、高いディフェスとパンチの回転力で仕留めるスタイルだった。アマ時代から体に染みついた戦法の転換は簡単ではない。

 「いつ決まってもいいように準備する。ボクシング界を盛り上げたいし、僕がフライ級の先頭に立つ。今は純粋に世界王者に立ちたい」。一翔は意気込むが残り2カ月半で、進化を果たさなければ、過去最強級の王者に苦戦は必至となる。

 叔父・弘樹氏も2階級制覇を達成後、3階級制覇に4度挑み、4度失敗した。井岡一族にとって次が6度目の正直となるか-。立ちはだかり続ける高い壁を、一翔は自らの拳で打破するしかない。

(デイリースポーツ・荒木 司)

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