凱旋門賞、悲願の日本馬初Vへ

 スポーツ界においてしばしば使用される“悲願”というフレーズ。日本競馬界の悲願は?と聞かれれば、きっと関係者やファンの大半がこう答えるだろう。凱旋門賞制覇-。華やかに彩られたフランスのロンシャン競馬場で毎年10月1週目に行われる伝統の一戦は、日本にとって長年の夢とされてきた。

 69年にスピードシンボリが着外(11着以下)に敗れてから始まった挑戦。日本馬は14頭、出走回数はのべ16回を数える。うち2着は4回。世界の頂点に手をかけながらも、つかむところまでは至っていない。だからこその“悲願”である。

 過去には歴代最強クラスの名馬が参戦。05年には社会現象となったディープインパクトが満を持して出走したものの、3位入線→失格となっている。12、13年にはオルフェーヴルがあと一歩のところまで迫りながらも2着に敗れた。

 “日本で敵なし”の馬ですら勝てないのは、決して能力の問題ではない。よく言われる要因のひとつに馬場が挙げられる。ヨーロッパの芝は重く、パワーが必要。スピード重視の日本とは対極にあり、対応するのはなかなか難しい。

 そしてもう一点が斤量。古馬の牡馬が背負う59・5キロは日本で経験することが難しく、また3歳牡馬とは3・5キロの差が生じる(日本の秋G1は通常2キロ差)。3歳牝馬ともなれば54・5キロで出走が可能となっており、古馬の牡馬とは実に5キロの差だ。過去3年で3歳牝馬が2勝というデータからも、斤量差が着順に影響することはお分かりいただけるだろう。

 さて、今年は日本から史上最多の3頭が参戦する。個人的にはいずれの馬もディープインパクトやオルフェーヴルほどの“超怪物級”とは思えないが、過去の敗戦から学んだ“教訓”が存分に生かされているメンバー構成と言えよう。

 ゴールドシップは重い馬場をめっぽう得意としており、ハープスターは日本勢で初めて参戦となる3歳牝馬。凱旋門賞を勝つために必要な要素を備えている。もう1頭のジャスタウェイは世界レーティング1位。こちらは国内以上に海外で評価されている馬だ。今年こそは歴史的瞬間を見届けたい。

(デイリースポーツ・豊島俊介)

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