2度目の監督交代でC大阪に復調の兆し

 16位と降格圏内に低迷するJ1・C大阪が、13日の第23節柏戦で12試合ぶりの勝利を挙げた。リーグ戦における白星は5月3日の第11節名古屋戦(2○1)以来4カ月ぶりで、ホームに限れば3月15日の第3節清水戦(4○1)以来実に6カ月ぶり。長く暗いトンネルをようやく抜けた。

 6月に就任後、4分け5敗とリーグ戦で1勝もできなかったマルコ・ペッツァイオリ監督(45)を8日に解任。後任にC大阪U‐18で監督を務めていた大熊裕司氏(45)を内部昇格させた。04年以来10年ぶりとなるシーズン2度目の監督交代。J1残留に向けて最後のカードを切った。

 大熊監督の初陣となった10日の天皇杯磐田戦、続く柏戦でも新指揮官が掲げた「走る」「戦う」サッカーというコンセプトを体現して勝利した。中でも目を引いたのが前線からの激しいプレスで、その象徴となったのが柏戦で揃ってゴールを決めたFW永井龍(23)、FW杉本健勇(21)という育成組織出身の2トップだった。

 左太腿裏痛から復帰したFWフォルランをベンチに置き2試合連続スタメン出場となった2人は、磐田戦から中2日という過密日程にもかかわらず90分間ボールを追い続けた。「不安はあったけど、やってみたら試合に出られる喜びの方が大きくて、倒れてもいいから走ろうと思っていた」。試合後、永井の表情には充実感があふれていた。

 「前から行ってくれるので、パスコースが限定されてボールが取りやすい」とDF山下達也(26)が言えば、DF丸橋祐介(24)も「前線の選手が追ってくれるので後ろは楽に対応できた」。公式戦2試合連続無失点の守備陣は、口を揃えてMF南野拓実(19)、MF楠神順平(27)も含めた攻撃陣の懸命な守備に感謝した。杉本、永井のゴールは、結果論ではあるが、献身的にボールを追い続けた姿勢に対する“対価”とも言えた。

 シンプルにやるべきことが明確になり、選手たちも迷いが吹っ切れた。日本代表MF扇原は「まだ1勝しただけ」と前置きしながらも、「こういうゲームを続けていけば、どこにも負けないという自信をつけられた」と胸を張った。

 南野はU‐18で3年間、大熊監督の指導を受けている。「大熊さんとの出会いは大きかった。正直、守備を全然しない選手で、中学の時は点を取ればいいと思ってやっていた。だけど今のサッカーは守備もできないと試合に出られない。攻撃だけの選手、守備だけの選手などいない。そういう考え方を教えてくれた。運動量を増やすため、走り込みなどフィジカルトレーニングをすごくしました」。トップ昇格を果たしたばかりの昨季、南野はユース時代をこんな風に振り返っていた。

 20日のG大阪戦(万博)に向けて練習を再開した16日、大熊監督はフィジカル中心のメニューを選手たちに課した。ただ、厳しい練習の中にもチームの雰囲気にはどことなく明るさが戻りつつある。

 第23節を終えてC大阪は5勝8分け10敗で勝ち点23。入れ替え戦廃止後の09年以降15位チームが獲得した勝ち点は、09年山形39、10年神戸38、11年浦和36、12年新潟40、13年甲府37となっている。あくまで机上の計算だが、下位グループが混戦とはいえ残り11試合で勝ち点15近くの上積みが必要とみられる。決して容易な数字ではないが、前へ進むしか道はない。J1残留に向け、C大阪は一歩踏み出した。

(デイリースポーツ・山本直弘)

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