巨人に真の4番打者は出現するのか

 近年の巨人軍でこんなに“4番打者”で悩んだシーズンも珍しいのではないか。

 今季、開幕当初は村田が4番を務めた。さらにここまで阿部、アンダーソン、高橋由、長野、セペダが4番に座った。4月26日の広島戦で今季初めてアンダーソンを4番に指名した際、原監督は「相当なる決断の中で今日、(4番を)変えたと思ってください」と断腸の思いだったことを打ち明けている。

 4番は、コロコロ変えるものではない。当然のことだが、指揮官としてもシーズンを通して4番を固定したい、が本音。だがそれはできなかった。

 巨人で初めて4番に座った選手は“第○代4番”とされる伝統がある。それだけ特別な存在なのだ。長嶋茂雄、王貞治、松井秀喜。現役時代の原監督自身がそうであったように巨人軍の4番は、まさにチームの顔でなければならない。

 当然、それに伴う“結果”も求められる。原監督の4番打者の理想像もある。その一端として「相手がどう思っているか。打つ打たないより、相手が困るような打者にならないといけない」と語っている。

 8月に入って阿部が4番に座っている。一塁を守るケースも増えてきているが阿部は本来、負担の大きい捕手というポジションで、しかも主将としてチームをまとめる責任もある。首の張りなど満身創痍(そうい)の阿部を「4番捕手」で固定し続けるのは難しいだろう。

 だが現状のメンバーを見渡すと、やはり阿部が最も4番打者にふさわしい。実績も申し分ないし、相手に威圧感を与えることができる。阿部を一塁にも入れながら、打線の“柱”として起用し続けることがベストなのだろうか。

 では将来的にはどうか。未完成の素材として中井や大田らもいるが、若手で将来、4番を任されそうな逸材は少ない。8月中旬。原監督は、高校通算73本塁打の智弁学園・岡本和真内野手の話題に「いいバッターいるらしいね」とし、「うちには4番バッターいないから」と本音ともジョークとも受け取れる発言をしていた。

 生え抜きで華があって長距離砲で、未知の可能性も秘めていて…。やはりファンも巨人軍の未来の4番打者には多くのことを求めるだろう。松井秀喜のような超高校級の目玉選手をドラフト1位獲得して、時間をかけて育てるしかないのかもしれない。

(デイリースポーツ・伊藤玄門)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

コラム最新ニュース

もっとみる

    ランキング

    主要ニュース

    リアルタイムランキング

    写真

    話題の写真ランキング

    注目トピックス