マー君の移籍先選びの参考になる?

 ダルビッシュ有投手が所属するレンジャーズが、レッズからフリーエージェント(FA)になっていた韓国出身の秋信守外野手(31)と7年1億3千万ドル(約135億2千万円)で合意したと、米スポーツサイトのCBSスポーツなど複数の米メディアが、21日(日本時間22日)に報じた。契約の規模としては、アジア出身選手では最大となったのだが…。

 一つ気になる点がある。レンジャーズよりも高い条件だった他球団を選ばなかった理由だ。本人がはっきりと明らかにしているわけではないが、その理由として、米国独特の税金事情が絡んでいる見方もあるという。

 同外野手にはヤンキースやマリナーズなど複数の球団も興味を示していた。ニューヨーク・ポスト(電子版)によると、ヤンキースはレンジャーズを上回る7年1億4千万ドル(約145億6千万円)を提示していた。しかし、レンジャーズの本拠地・テキサス州は所得に対する州税がかからないため、税金を考慮した場合、“手取り金額”としては、レンジャーズの方がヤンキースよりも条件が上だったことになる。

 ヤンキースが700万ドル上積みして、1億4700万ドル(約152億8千万円)を出せば、レンジャーズと同等のオファーになっていたという。つまり秋信守選手が1億4千万ドルでヤンキースと契約してニューヨークに住むことになっていた場合、テキサスよりも7年間で700万ドル(約7億2800万円)も多く税金を納めなければいけなかったことを意味する。

 米国の税には2種類あり、国税にあたる連邦税と居住地のある州に支払う州税がある。連邦税の税率は収入によって変動するが、年収38万8351ドル以上は一律35%だ。

 州税の税率は州によって異なる。しかしテキサス州のほか、フロリダ州、ネバダ州、ワシントン州、アラスカ州、サウスダコタ州、ワイオミング州では、所得について非課税。この7州に住んでいる人は連邦税の支払いだけでよい。メジャーリーガーのような高額所得者にとっては、どの州に住むかで納税額が大きく変わってくる。

 日本人メジャーリーガーたちの納税についても調べてみた。米国の法律では、職業にかかわらず、国内に183日以上滞在した場合に納税の義務が生じるという。大リーグの労使協定では1シーズン=183日と定めているため、シーズンを通してメジャーに在籍した選手は自動的に米国内で確定申告を行わなければならないことになる。

 ある代理人によれば、日本人メジャーリーガーによるCMやテレビ出演など、日本での仕事で得た収入は日本で確定申告を行い、その資料をIRS(The Internal Revenue Service)=米国国税庁=に提出する必要がある。さらに近年では“隠し財産”を防ぐために、米国外にある銀行口座のお金の流れを詳細に記した資料提出も求められるという。

 これまでメジャーに挑戦した日本人選手で、州税を考慮して移籍先を探すといった話は聞いたことがない。日本人選手にとっては、お金よりもメジャーの舞台に立つ夢のほうが大きいはずだ。

 新移籍制度によって楽天・田中将大投手がメジャー挑戦となると、かなりの大型契約も予想される。どのチームと契約するのかということはもちろん、そのチームの本拠地がどこの州にあるのかということも、どうも気になってしまう。

(デイリースポーツ・岩田卓士)

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