巨人の死角は?広島下克上の可能性は?

 プロ野球のクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージは、セ・リーグが16日、パ・リーグが17日に、それぞれ開幕する。両リーグとも3位チームの広島とロッテが、阪神、西武の2位チームを破り、虎視眈々と下克上を狙っている。

 アウェーの地で連勝してファイナル進出を決めた広島。シーズン終盤の勢いそのままにポストシーズンに突入した。ただ、今度の相手は王者・巨人。シーズンは2位・阪神に12・5ゲームの差をつけてぶっちぎりで優勝した。勢いだけでは簡単に勝てるチームではない。ましてやファイナルステージは優勝チームに1勝のアドバンテージがあることを忘れてはならない。さらに加えれば、広島は12日の阪神1戦目で先発させたエース・前田健をこのステージで1試合しか先発させることができない。このことから巨人の絶対的な優位さは動かない。

 広島OBで元巨人コーチの西山秀二氏は「広島が勝ち抜くことは相当難しい。マエケンを1戦目と6戦目に先発させることができれば、広島の日本シリーズ進出もありうるのではと見ていた…」と話す。

 巨人は自慢の強力打線に加えて、リリーフ陣も鉄壁。沢村、マシソン、山口、西村と他球団を凌駕するスタッフをそろえる。6回から1人1イニング、この4投手を継投すれば逃げ切れる確率が高い。つまり、先発投手は5回まで抑えればいいということになる。

 ただし、元巨人コーチの関本四十四氏は、この先発陣こそ巨人の数少ないウィークポイントだという。「シーズン終盤は、内海、杉内、菅野といった主力投手が打ち込まれるシーンが目についた。広島打線は五回までに先発を崩すことが勝利への道といえるだろう」。広島は阪神とのファーストステージで2戦とも中盤から終盤にかけて点を重ね、大量得点を奪ったが、ファイナルステージではエンジンの始動をさらに早めなければならない。序盤で点を奪う必要がある。

 西山氏も声をそろえる。「巨人攻略の糸口があるとすれば、序盤で先制することだろう。巨人はシーズン終盤、優勝マジックが5ぐらいになったころからチーム状態が下降した。広島が序盤に先制点を奪って、相手先発を四、五回までに引きずり下ろす展開に持ち込めば中継ぎとの勝負になる。そうなれば勝機は生まれるかもしれない」。

 またあえて、巨人の不安要素をもう1つ挙げるとしたら、緊迫した勝負から遠ざかっていることだ。独走したことによる弊害ともいえるが、シーズン終盤は無理をする必要がなかった。9月22日にはリーグ優勝を決めている。その後、主力選手は宮崎フェニックス・リーグに出場はしたが、相手は2軍選手である。「ファーストステージで阪神と緊張感ある試合をした広島とは、大きな差がある」(関本氏)。

 借金チームとして初のファイナルに進んだ広島だが、さらに勝ち上がるためには、勝負勘が戻る前に巨人をたたくことが条件だ。「カギを握る打者は梵ではないかと見ている。キラ、エルドレッドの両外国人の活躍も欠かせないが、シーズン中の戦いを見ていると、ここぞという場面では梵が打っている。梵のバットが勝敗を分けることがあるかもしれない」(西山氏)。丸、菊池、梵の上位打線が足を絡めた攻撃で追い込み、長打力のあるキラ、松山、エルドレッドが仕留める。このパターンが広島にとって理想的だが、まずは1戦目、どんな形でもいいから、巨人の先発投手から序盤に点を奪うこと、これができて初めて下克上の可能性が生まれる。

(デイリースポーツ・佐藤利幸)

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