虎4度目挑戦でファイナルS進出なるか

 プロ野球クライマックスシリーズのファーストSは12日、セ・パ同時開幕する。セ・リーグは巨人への挑戦権をかけて、2位・阪神と3位・広島が激突する。

 阪神にとっては、ファイナルステージ進出をかけて、今回が4度目の挑戦となる。岡田監督時代に2度挑戦。シーズン3位で進出した2007年は2位・中日に連敗。続く2008年はシーズン2位で、同じく3位・中日と対戦したが、1勝2敗。真弓監督時代の2010年はシーズン2位で3位・巨人に連敗している。過去3度の出場で通算7試合1勝6敗と散々な結果だ。

 レギュラーシーズンのチーム成績を比較すると、阪神は本塁打82、得点531、打率.255、失点488、防御率3.07で、広島が本塁打110、得点557、打率.248、失点554、防御率3.46。 阪神の本塁打数の少なさが目につくぐらいで大差はないと言える。対戦成績も12勝12敗で全くの五分。

 それではシーズンの終盤20試合だけを見ればどうだろう。阪神は8勝11敗1分、1試合平均の得点が3.75に対し失点は3.9。一方、広島は13勝6敗1分、1試合平均得点は4.55、失点は3でともに阪神を上回る数字。広島の方に勢いがあるのは明白だ。

 阪神にとって勢いの差以上に脅威なのが、第1戦先発予定の前田健の存在だ。前田健は今季阪神戦に6試合登板し、4勝1敗、防御率0.40とほぼ完ぺきに抑え込んでいる。「マエケンは1年間やって全然打ててないわけやから…」(元阪神監督、岡田彰布氏)。いまさらマエケン攻略法は見当たらない。終盤の勢いの差…マエケンの存在…これらをみると、圧倒的に阪神不利に見えるのだが、はたして勝機はないのか。

 元広島投手、高橋建氏が広島側から見た阪神の印象をこう話した。「阪神はそうは思ってないと思うけど、後ろは阪神の方がいい。投手戦で接戦になると、広島は嫌だろうね」と言う。1点差ゲームに限ると今季、阪神は23勝21敗、勝率.523。広島は22勝23敗、勝率.489で確かに阪神の方が接戦に強い。

 阪神の後ろ、すなわちリリーフ陣の今季広島戦の防御率も見てみよう。ストッパーの福原が0.00(8回)、加藤0.00(7回1/3)、ボイヤー0.00(4回)、筒井0.90(10回)、久保1.64(11回)、久保田1.93(4回2/3)、安藤3.38(5回1/3)と軒並みいいのだ。「先制されると(広島の)打線は重い雰囲気になるだろうね」(高橋氏)。先に点を取り、終盤につなげることができれば十分に阪神に勝機はあるということだ。

 広島が恐れるもう1つの要因が、阪神打線で一番「前」を打つ西岡だ。今季の対広島は打率.227、0本塁打、9打点と成績だけ見れば恐れる必要はない。しかし、西岡には大きな経験がある。ロッテ時代に過去、2度CSを勝ち上がった実績を持つ。特に2010年は3位から日本シリーズへ出場し、中日を破り日本一に輝いた。史上最大の下剋上と呼ばれたチームの一番打者だった。阪神の「前」と「後ろ」を警戒する広島。4度目の挑戦でファイナルステージ進出を狙う阪神にしてみれば、広島が恐れる試合展開にもっていくほかない。

(デイリースポーツ・佐藤利幸)

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