手倉森J悲しき初勝利 勝ち点1及ばず1次敗退

 「リオ五輪・サッカー男子・1次リーグ、日本1-0スウェーデン」(10日、フォンチノバ・アリーナ)

 男子の1次リーグ最終戦が行われ、前回大会4位のB組の日本はスウェーデンに1-0で勝ち、今大会初勝利を挙げた。コロンビアがナイジェリアを下したため、勝ち点4の日本は3位となり、2大会ぶりの1次リーグ敗退が決定。48年ぶりのメダル獲得は夢と散った。手倉森誠監督(48)は「長い間付き合ってくれてありがとう。いい仲間だった」と選手をねぎらった。

 奇跡は起こらなかった。今大会初勝利を告げる主審の笛は、手倉森ジャパンの終焉(しゅうえん)をも意味した。試合終了と同時に、主将の遠藤らがピッチサイドをうかがう。立ち尽くした手倉森監督、静まり返ったベンチが日本の1次リーグ敗退を物語っていた。

 指揮官は「チームが向上してきた中での敗退。非常に残念だし受け入れがたい」と唇をかみ、遠藤は「これが今の自分たちの実力」と現実を受け止めた。

 日本が勝ち、コロンビアが引き分け以下なら準々決勝進出の可能性が残されていた。慎重な立ち上がりから前半を0-0で折り返すと、相手の足が止まった後半に勝負を懸けた。後半20分に矢島がゴールネットを揺らし、3試合目で初めて先手を取ったが、時をほぼ同じくして、約1500キロ離れたサンパウロでは、コロンビアが勝利を決定付ける2点目を奪っていた。

 『耐えて勝つ』をコンセプトに48年ぶりにメダル獲得を目指して王国の地を踏んだが、わずか勝ち点1差で涙をのんだ。「初戦が全てだった」と南野や矢島が口をそろえたように、悔やまれるのはナイジェリア戦の敗戦だった。重圧や緊張感からミス絡みで5失点を重ねた。オーバーエージ(OA)枠の塩谷は「気負いすぎた」と肩を落とし、中島は「信じられない試合をしてしまった」と振り返った。

 U-20W杯を逃し続け、OA枠3人も世界大会の経験がない。手倉森監督は「世界で修羅場を経験していない監督と選手が、つまらないミスをしたら痛い目に遭うというのを思い知らされた」と悔やんだ。

 『勝てない世代』がアジアを制し、五輪の舞台にたどり着いたことは一定の成果といえる。7得点は五輪が現行制度となった96年以降、日本の最多得点。「日本人らしい崩しからの得点は、やり方次第では世界に通じる」と手応えも得た。

 試合後のロッカールーム。手倉森監督は「勝って終われたことはこのチームらしくて良かった」と涙を流したという。最後まで前向きだった。13年12月11日の就任会見から973日。38試合目の国際試合を勝利で飾って、手倉森ジャパンの挑戦は終わった。

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