【サッカー】障がい者サッカー魅力十分

 障害者サッカーの7団体を統括する日本障がい者サッカー連盟が1日、日本協会(JFA)の加盟団体として発足した。これまでは独立していた障害者サッカーだが、統括団体の設立に加え、協会の加盟団体となることで、どのような変化が起こるのだろうか。

 「サッカーなら、どんな障害も超えられる」-。新連盟の発足に際し、こんなキャッチフレーズが書かれた横断幕が会見場に掲出されていた。新連盟を構成するのは、それぞれ障がいの内容に応じて競技規則に違いが見られる、7つの競技団体だ。

 足や腕に切断障がいを持つ人が行う7人制サッカーである『アンプティサッカー』、脳の損傷によって運動障害がある人が行う『CPサッカー(脳性まひ者7人制サッカー)』、精神障がいがある人がフットサルのルールで行う『ソーシャルフットボール』、知的障がいがある人が行う11人制サッカーである『知的障がい者サッカー』、自立した歩行ができない障害を持つ選手が電動車椅子に乗ってプレーする『電動車椅子サッカー』、視覚障がいのある人が行う5人制サッカーで、全盲のブラインドサッカーはパラリンピック種目でもある『視覚障がい者サッカー』、聴覚障がいのある人が行い、デフサッカーとも呼ばれる『聴覚障がい者サッカー』、以上の7つとなっている。

 恥ずかしながら、これほど多くの障がい者サッカー競技があることに対して知識がなかったが、各団体の紹介映像などを見ると、本当に大きな驚きがあった。目が見えないとは思えないプレー、音が聞こえないとは思えないプレー、片足が切断されているとは思えないプレーなどにあふれていた。さらにどの競技の選手も、日本代表というカテゴリーまでに登り詰めている選手は1人のアスリートとして自らを高め、勝利を追求する姿勢が伝わってきたこと。それぞれの状態に応じて参加できる競技があり、その中には世界大会につながるものもある。連盟が掲げる「サッカーなら、どんな障害も超えられる」という言葉は、もう大げさなキャッチフレーズには聞こえなくなった。

 この日の設立会見に出席した各競技の選手が、周囲に求めるものはさまざまだ。「自分たちがやっているサッカーの魅力を知ってほしい」、「一般社会に対して障がい者に対する理解が深まって欲しい」、「深く考えず、ハンディがあっても同じ人間がこんなことをやっているんだな、と見てほしい」。競技や障がいそのものの認知度を高めるため、各選手は懸命に自らの競技をPRしていた。

 今回、日本協会の加盟団体となったことで大きな希望も生まれた。日本代表ユニホームの統一化だ。これまではそれぞれ独立した競技団体だったため、各団体の代表チームは、男子のA代表を中心としたサッカー日本代表のユニホームとは違うもので試合に出ていた。もちろん日の丸を背負うという意義は着ているものによって変わるものではない。ただ、ブラジル国籍を有しており、過去にはブラジル代表にも入った経験を持つエンヒッキ松茂良ジアス(アンプティサッカー)は、こう言い切る。「18歳の時、ブラジル代表に入ってA代表(セレソン)と同じユニホームを着た。これは本当に気持ちが変わるんです」。日本協会の田嶋幸三会長は「既にA代表と同じユニホームを着られないかという話は進めている。さまざまな問題をクリアして実現したい」と語れば、日本障がい者サッカー連盟の北沢豪会長も「各団体の契約などの問題もある。そういったものも尊重しながらだが、ベストなのは日本中が一つになれるユニホームを選手もサポーターも着られれば」と見通しを語った。

 2020年には東京五輪・パラリンピックも控えるが、新連盟の北沢会長は「2020に向けた活動もあるが、大切なのは、日常を変えること。そのきっかけがサッカーであれば」。魅力と可能性にあふれる障がい者サッカーを、応援していきたい。(デイリースポーツ・松落大樹)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

サッカー最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    スコア速報

    ランキング(サッカー)

    話題の写真ランキング

    デイリーおすすめアイテム

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス