【ボート】ファンあってのボートレース

 「ボート記者コラム・仕事 賭け事 独り言」

 ボートレース担当として1年が過ぎようとしている中で、初めてと言ってもいい衝撃的なレースに出くわした。それは、ベテラン記者が「これが本当のボートレースや。昔はこれが当たり前。今のレースは練習の延長や」という“本物のレース”だった。

 10月12日の住之江ボート12R。馬袋、松元、金子らイン指向のレーサーがそろったため、進入予想から悩む番組だった。フタを開けてみれば、予想通り進入からコースの奪い合いが展開され、今では珍しいS回り直しも。レース自体も激しく、ゴールまでくぎ付けになった。

 転覆やケガも恐れぬレースぶりには、プロフェッショナルを見た気がした。舟券は外れたが、こちらもドクドクと流れるアドレナリンをグッと感じた次第。記者としていいものを見せてもらい、ボートレースの楽しさを教えてもらった気がした。

 その一方でプロフェッショナル精神が著しく欠落していると思えるシーンに出会ったことも。取材していると「あっち行け」だの、「写真は撮るな」だのと語るレーサーが少なくないこと。「足はどうですか?」の質問に「2本」と答えた人物も。質問には、一切答えない、受け付けずに筆談でコメントするレーサーもいる。

 申し訳ないが、20数年間、芸能、社会、運動と取材してきて、この対応はかつて経験がなかった。自身に不利益なことでも真摯(しんし)に対応してくれたことはあっても、「うるせー、このやろー」と言われたのは、暴走族上がりのコワモテ芸能人と、入れ墨を入れて、最近バツ1になった元野球選手の2人きりである。

 記者はファンにそして世の中に広くその人の声を届けるのが仕事だと自負しているが、その記者に対して「あっち行け」とは…。あきれるばかりである。

 レーサーとしては、負けて悔しい時もあるだろう。しかし、ファンもその勝ち負けに一喜一憂している。勝因、敗因もはっきりさせてほしい。ボートレースも、ファンあってのものということを忘れてはいけない。(関西ボートレース担当・中村博格)

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