歌舞伎俳優の市川右近（５２）が２６日、都内で会見し、来年１月に東京・新橋演舞場で行われる「寿新春大歌舞伎」で、三代目市川右團次を襲名することを発表した。

　市川右團次は関西の名跡で、大がかりな演出を行う「けれん」に定評があった。先代である二代目は１９３６年に死去しており、今回の襲名で８１年ぶりの名跡復活となる。

　かねてより、師匠の市川猿翁（７６）と松竹株式会社の間で、「時期を見て新しい名を継がせたい」との話し合いが持たれていた。また、市川宗家の当主である市川海老蔵（３８）からも「歌舞伎を背負っていく方たちには、市川家には名前がたくさんあるので、機会があれば継いでいただきたい」と提案されていたという。

　猿翁、海老蔵との話し合いの中で、右近が大阪出身であること、また「けれん」の名手であることを踏まえ、右團次を襲名することが決定した。二代目の孫である市川右之助（６９）にも、松竹と海老蔵から打診。「右近さんに継いでもらうのは本当にありがたい。右團次の名前が生き返るのはうれしいこと」と快諾されたという。

　右近は「我が人生を歌舞伎にささげまして、日本の伝統文化の発展のために少しでもお力添えができたらと、芸道精進させていただく所存でございます」と抱負を語った。また、猿翁から「私の意志を継いでくれた君には感謝の気持ちでいっぱいです。この機会に『翔べ』という言葉を贈りたいと思います。右近さんはいつまでも私の弟子です。フレーフレー右團次！大きく高く翔べ！いつも応援しています」とのメッセージを受け、「非常に胸が熱くなっております」と感無量の様子だった。

　また、長男の武田タケルくん（５）が、同時に二代目市川右近を襲名し、同じく来年１月に初舞台を踏むことも併せて発表された。今年６月２日から東京・歌舞伎座で行われる「六月大歌舞伎」での初お目見えも控える武田は「来年１月に市川右近になります。一生懸命頑張ります。どうぞよろしくお願いします」とあいさつした。