うじきつよし 原点ロックで伝えたいこと

 「若い世代には“司会のおじさん”と思われてるかもしれませんね」。博識タレントや俳優としても活動する、歌手・うじきつよし(57)率いるロックバンド「子供ばんど」がデビュー35周年を迎えた。1980年代に大暴れスタイルを売りに通算2000本ライブを敢行した後に活動休止していたが、11年に活動再開。デイリースポーツのインタビューに応じたうじきが「同窓会気分じゃ意味がない。おっさんバンドが言わなくちゃならないことがあるんです」と語る、新曲を作り続けてステージに立つ“ロックの原点”とは。

 11年の活動再開時をうじきは「25年間も休んでた、ましてやうるさいロックバンドが新曲作って再開すること自体が、相当にすっとんきょうでアブノーマル。それが最大の不安でしたね」と振り返る。

 ただライブを開けば25年ぶりの熱気が復活。「恐ろしいことに、四半世紀前のかつてのファンが来てくれて、飛んだり跳ねたり。家庭や会社では大変であろう世代ですが、こっちが驚くほど元気ですね。その方々が、親よりしっかりしてそうな息子や娘さんたちを連れてきてくれるんです。最初はこっちも固くなって、むきになって空回りするのが見てる方はおもしろかったと思います」

 さすがに年間200本をこなしたこともあるかつての超ハイペースのライブ開催は「もう100%無理」と苦笑いするが、「圧倒的に本数は減りましたが、内容は充実させたい。ジャンプ力も衰えて、飛んだ瞬間に着地してますが、昔は運動量が多く暴れまくるのが売りでしたし、それを再現しなくちゃと老体にムチ打ちやってますよ」

 ただし「同窓会気分で喜んでるだけなら、続ける意味がない」と言い切る。「まだ、おっさんでも新しい曲が作れる。おっさんのロックバンドが、それなりに言わなくちゃならないことがあると思うんですよ」

 うじきは活動休止中には、テレビ朝日系「サンデープロジェクト」など報道番組の司会を務めたこともあり、見える世界も違ってきたという。「ロックバンドの原点は、時代時代に起きてることに、まっとうな人たちが言えないことを表現すること。昔も精一杯、訴えてはいましたが、見えてる部分が小さかった。報道番組の司会もやらせていただき、見識は確実に違ってきましたね」

 5月5日に発売する新アルバム『ロックにはまだやれることがあるんじゃないのか』にも、そんな思いを込めた。

 「今の日本、ちょっとおかしいんじゃないか。国が発展しながら70年間も続いた平和を失いかねないことをやっていいのか。沖縄や福島の人のことを他人任せでいいのか。本来、不良であるこっちの叫びが正論になるのはおかしいと思うんですよね」

 「子供ばんど」と名乗った当時から、大人社会への反発意識が根底にあったことには「くだらない大人になりたくないとか、なんて青い発言だったんだろうと。すごく口うるさい頑固オヤジになってしまいました」と笑いながらも「物分かりよくはなれなかった」と語る。

 血気盛んな世代としては、現在の若者世代には「変に空気が読めるから、こっちが叱ったつもりでも、話を聞いてくれたり、軽くスルーされたりしますからね」と世代格差を感じているというが「平和の問題にしても、一番の当事者になるのは今の20代や30代になるわけですから」と伝えたいことは尽きない。

 活動の期限は設けていないが「次は、アマチュア時代のように、作った新曲をライブで届けながら、たまった時にアルバムを最低でももう一枚をとは考えています。それが還暦ぐらいになれば。それくらいまでは許してもらえるんじゃないですかね」と見据える。

 「我々のエンターテインメントの世界も平和な世界があってこそ。空気の汚れを警告する『炭鉱のカナリア』にはなれなくても、せめて『ハキダメのカラス』としてカアッ!とかギャア!と叫んでいきたいですね」

 5月5日には東京「渋谷タワーレコード」や「下北沢GARDEN」で、同15日には大阪「OSAKA MUSE」でライブを開催する。

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