柳さんへの原稿料未払い長期化

 作家の柳美里さん(46)と出版社の「創出版」との原稿料未払い問題が長期化している。

 月刊誌「創」に柳さんが連載していたエッセーの原稿料の一部が支払われていないことを自身のブログで公表したのが10月15日だった。同誌の篠田博之編集長が17日に「創」のブログで「早急に話し合いをし、対処したい」と表明。解決への話し合いが進んでいるかに思われた。

 しかし、原稿用紙1枚あたりの原稿料がいくらなのか、どれだけの分量について未払いなのかといった点について、柳さんは「創」側からの明確な提示を得られず、いらだちを募らせていた。篠田編集長から連載当時に「原稿用紙3枚で5万円」と提示を受けたと主張する柳さんが、篠田編集長が根拠になる文章などの提示を求められ、「言った言わないの水掛け論に持ち込もうとしている」と激怒することもあった。

 その後、柳さんはブログで過去の執筆原稿の未払い分、既払い分の概算を公表。紆余曲折を経て、両者の間には原稿料支払いについての「覚書」がかわされたようだ。

 ただ、まだ完全に解決には至っていないことがうかがえる。10月30日に柳さんが公開した篠田編集長宛てのメールに、「覚書」の詳細の一部が読み取れる記述があった。

 毎月2回、10万円ずつ創出版が柳さんに振り込むという約束があり、創出版は11月6日の支払いを10日に遅らせてほしいと要求。これに柳さんは不快感を示し、「支払い日は、一日たりとも待てません。支払い額は、一円たりとも負けません」(原文まま)と決意を示した。

 また、柳さん10月21日更新分で、他業種で賃金未払いに悩む人の声がツイッターで寄せられたことも報告し、「労働の対価を支払ってください」と訴えている。

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