村上春樹受賞逃す 神戸のハルキスト残念

 2014年のノーベル文学賞が9日、フランスの作家パトリック・モディアノ氏に決まり、今年こその期待が膨らんでいた村上春樹氏(65)の受賞はまたもならなかった。村上氏が兵庫県芦屋市に住んでいた時に通い、エッセーでも言及した神戸市中央区のイタリア料理店「ピノッキオ」には“ハルキスト”約10人が集まって吉報を待ちわびたが思いは届かなかった。

 村上氏がノーベル賞の候補に取りざたされるようになったのは06年にチェコの文学賞フランツ・カフカ賞を受賞してからとされる。以後、候補の1人として注目され、今年も英国などの複数の大手ブックメーカー(賭け屋)による予想で村上氏が1番人気となっていた。それだけに同店オーナーの山中崇裕氏は今年こその受賞を信じたが「残念です。しかし、また来年もあります。シャンパンを飲みましょう!」と無念そうに述べ、来店者に“涙のシャンパン”を振る舞った。

 村上氏は神戸市内の高校に通学していた10代のころから同店を訪れるようになった。1995年に発生した阪神・淡路大震災発生後の同年9月には神戸まで足を運んで同店が健在であることを確認したという。

 97年には兵庫県西宮市から神戸市まで約20キロを徒歩で移動し、同店を訪問。シーフード・ピザを食べて生ビールを飲んだことをエッセー「辺境・近境」に記した。その後、村上氏のまねをして1人で来店してピザとビールを注文する男性客が増えたという。

 同店は創業以来、ピザに通し番号を付けて客に提供。村上氏が97年に食べたピザの番号が「958816」だったことをエッセーに記していることから、その番号を再現したセットメニューをこの日のために用意した。価格は長編小説「1Q84」にちなみ1984円で提供することも決まっていたが、昨年に続き日の目を見ることはなかった。

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