【舩越園子の目】松山のグッドサイン

 第3ラウンド、通算5アンダーで14位に浮上した松山英樹。12番でバンカーショットを放つ=プレインフィールドCC(共同)
2枚

 「プレーオフ第1戦、バークレイズ第3日」(29日、プレインフィールドCC=パー70)

 松山英樹の3日目後半は見事だった。上がり4ホールで3バーディーのラストスパートには、ニューヨーカーたちが「ヘイへ~イ、マツヤーマ!」とうなり声を上げていた。

 ここ数週間、ショットの不調に悩んでいる。前日は「優勝できる内容じゃないけど優勝は目指している」と言っていた。今日の後半は優勝できるゴルフが戻ってきたのでは?そう尋ねると「なってないです」。ショットの手ごたえも「ないです」。観衆が拍手喝采したショットも彼の基準の下では満足できるものではなかったようだ。

 けれど、不満なショットでグッドスコアを作り出すのは至難の業だ。そのぶん彼は必死だったのだろう。ホールアウト直後の険しい表情、ブツ切れの返答は、全力疾走直後に呼吸がハアハア乱れて話もできないのと似た状態だったのかもしれない。質問を重ねるうちに彼の口調は滑らかになり、夕暮れの練習場で進藤キャディーにクラブをかざしてもらいながらショット練習していたころには、すっかり素顔に戻っていた。

 松山が時折り見せる仏頂面やブツ切れの返答は、高い集中力で必死に戦った直後でハアハアしている証。でも、そうなるのは、ある意味、「期待できる」というグッドサインだ。(在米ゴルフジャーナリスト)

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