体操・加藤の一問一答「自信ついた」
「体操 NHK杯兼リオデジャネイロ五輪代表選考会・男子個人総合」(5日、代々木第一体育館)
2位に加藤凌平(22)=コナミスポーツ=が180・100点で入り、すでに決定していた内村航平(27)=コナミスポーツ=に続き、リオ五輪日本代表入りが決定した。跳馬では、昨年の全日本学生選手権で着地に失敗し負傷した「ロペス」を繰り出し15・000点をマーク。最後の鉄棒でもノーミスで15・600点をたたきだし精神力の強さを見せつけた。ロンドン五輪では銀メダルだった団体での金メダル獲得を目指し「航平さんにいい思いをさせてあげたい」と決意を語った。以下、記者会見での加藤との一問一答の要旨。
-感想を。
「最後の最後、プレッシャーがかかった場面でしっかり着地まで止まれたのは、五輪のピリピリした空気というか、プレッシャーのかかる場面でもこのような演技ができる自信がついた。4年前は代表に入って夢のようで、現地にいくまでもフワフワしていて右も左も分からなかったですけど。今回は自分の力で勝ち取った代表の座なので、しっかりと代表に切り替えて練習に臨めると思います」
-重圧がかかる場面で結果を残せたということだが、あらためて五輪へ向けて強みは。
「やはり自分の一番の強みは安定感ということで、ミスのない演技。あとはああいうプレッシャーのかかる場面でしっかり演技できる精神力と思っているので。そこにダイナミックさ、力強さ、演技に関する面をもっともっと磨いていければと思っています」
-鉄棒ではかなり追い込まれていた。バーを握るまでの心境は。
「本当にバーにぶらさがる前に15・6という点数が必要ということは計算して分かっていて、15・6という点数は練習の中でも試合でもなかなか取れる点数ではない。でも、そこまで来たら縮こまってミスのない演技にこだわっても点数が伸びないと思ったので、開き直って、これで成功しても失敗しても自分の実力だとかみしめて伸び伸びと着地までフィニッシュしました」
-最初の種目から徐々に3位の田中佑典選手と点差が縮まっていった。心境は。
「コナミ(スポーツ)で(田中とは)ずっと一緒に練習しているので、どれぐらいの調子で、どれぐらいの点数を取ってくるのかという予想を超えてきて、床からあまり点数を離せずにいたので。4種目目の跳馬で『ロペス』を飛ばなければ点差が開かないと(思った)。(田中が)平行棒、鉄棒が得意なことは知っていたので、ここで『ロペス』を飛ばなければいけない。その選択肢しかなかったので、どうしようとか、恐怖心は薄れていった」
「(ロペスは)試合で飛んだのが久しぶりだったので、前のめりにならないようにと。最後の最後に膝を曲げて抱え込んで持ってきてしまったので、それが原因で後ろに流れてラインオーバーをしてしまったので、これからは自信を持って。『ロペス』もしっかり(演技して)復帰できる自信がつきました」
-けがの影響はもうないか。
「前のめりになる着地、余裕のない着地だと足首を痛めてしまうので、実際に、おとといの会場練習で少し(着地で)詰めてしまって。そういう恐怖心と、久しぶりだから空中感覚が少し自分の中で狂っていた。あとはこれからは順調に良くなる方向に進んでいくと思うので問題ないと思います」
-日の丸を背負う思いは。
「こうやって代表選考を勝ち抜いて、僕が(代表に)なったからには一緒に試合に出た人の分まで頑張らないといけないという責任がありますし、指導してくれた方たちへの恩返しになると思いますし。あとはずっと航平さんを勝たせてあげられなかった。そろそろ一緒に勝ちたい。航平さんにいい思いをさせてあげたいなと思っていました。リオに向けても、オリンピックの金メダルをずっと目指してきたので、航平さんも僕も、日本として団体で金メダルを取るのが一番の目標なので、それを向けてやっていきたい」
-リオ五輪でもこういう状況がよぎったか。
「15・6が必要って言いましたけど、開き直ったと言いましたけど、ここでしっかりできなけりゃリオでもこういう場面になって演技できないだろうなと、そういう自覚はあったので、それも含めて鉄棒を握りました」