引退の野村 「最後、幸せな終わり方」
「全日本実業柔道個人選手権」(29日、ベイコム総合体育館) 五輪3連覇を果たし、24日に自身の公式サイトで今大会を最後に引退を宣言した野村忠宏(40)=ミキハウス=は、1、2回戦とも一本勝ちで16強に駒を進めたが、3回戦で椿龍憧(23)=ALSOK新潟=に敗れ、37年間の現役生活に幕を閉じた。
開始26秒。腰車で一本負けを喫した野村は、数秒間天を仰いだ。会場で見守った3000人の拍手を浴びながら、深々と頭を下げた。「勝負ですから、負けは負け。ただ豪快に負けたなと。これが今の実力なので、仕方ない」と、冷静に振り返った。
引退を決断した理由は、「心が燃え尽きたり、妥協が入ったり、逃げたんじゃなくて、長年酷使した体の限界」と説明。「自分自身が納得のいく柔道が、自分には期待できないという思いがここ数カ月あった」と吐露した。
それでも、最後に畳の上で勇姿を見せた。最後は敗れたが、「競技者としてやっていく中で、いろんなものを柔道は自分に与えてくれた。勝てなくなって何年もたつけど、大きな拍手をくれた。そこは本当に勝負を越えた喜び。最後、幸せな終わり方かな」と感謝した。