高松商エース急病乗り越え初の決勝進出

 「明治神宮野球大会・高校の部準決勝 高松商7-6大阪桐蔭」(16日・神宮)

 高松商が粘る大阪桐蔭を振り切り、初の決勝進出を決めた。試合前には先発予定だったエース・浦大輝投手(2年)がウイルス性腸炎で病院へ直行。代わりに指名された多田宗太郎投手(2年)が終盤につかまったものの、しっかりと試合を作って強豪撃破を演出した。

 不測の事態は第1試合の三回に起こった。長尾健司監督は試合後、「実は多田は急きょの先発だったんです」と明かす。前日の夜から浦が下痢を訴えていた。病院に行くよう促していたが「大丈夫です。投げられます」と拒んだという。

 一夜明けても下痢は止まらず、再び長尾監督は病院に行くように勧めたが、返ってきた答えは「大丈夫です」。「相手が大阪桐蔭だからな」-。指揮官もエースの気持ちをくみ、オーダーシートに浦の名前を記した。だがメンバー交換の30分前、「突然、浦がやっぱり無理ですと言ってきて。どうしよう…」と指揮官。浦をマネジャーと一緒に病院へ向かわせ、オーダーを一から書き直した。

 香川大会以来の先発となった多田には「大阪桐蔭は緩いボールに弱いってウワサがあるよ」と根拠もない“暗示”をかけた。「彼は本当に誠実なんですよ。チーム一のマジメな選手。そこに期待した」と送り出した右横手投げ右腕は、暗示そのままに試合で大阪桐蔭をほんろう。序盤は内外角を丁寧に投げ分け、100キロ台の緩いカーブで凡打の山を築いた。

 七回にバッテリーミスから2点を失い、以降は大阪桐蔭打線の猛反撃にあったが、長尾監督は「多田は本当によく頑張ってくれた」と目を細め、拍手を送った。浦は病院で点滴を2本打たれ、試合終盤にベンチ前でキャッチボールできるまで回復した。

 初優勝を目指し敦賀気比と対戦する決勝戦は「浦に頑張ってもらいます。うちはもう投手がいませんから」と奮起に期待した。

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