PL学園の主将を襲った運命のイタズラ

大体大浪商対PL学園 5回大体大浪商2死一・二塁、PL学園・謝名堂陸(左)は大体大浪商・津田椋哉の飛球を落球し先制点を許す=舞洲(撮影・山口 登)
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 「高校野球・大阪大会準々決勝、大体大浪商2-1PL学園」(28日、舞洲ベースボールスタジアム)

 ゲームセットの瞬間、存続問題に揺れるPL学園の主将・謝名堂陸内野手(3年)は泣き崩れた。「甲子園に出ることで、これまでの流れを変えたい」。野球部が廃部へと向かう現状を好転させるため、憧れの聖地を目指した。主将としてチームをまとめるだけでなく、17歳の少年は普通の高校生では考えられないほどの“十字架”を背負って戦ってきた。

 しかし、運命のイタズラは容赦なく謝名堂に襲いかかる。五回2死一、二塁から打球は二遊間後方へフラフラと上がった。遊撃を守っていた謝名堂は背走しながらいったん、落下地点に入ったかに思われた。だが中堅からホームに吹く強い風が打球を押し戻し、グラブに当たって落球。一気に二塁走者が生還し、先制点を献上してしまった。

 「追った瞬間は捕れると思いました。でも風で思った以上に戻された。あの打球はショートを守る選手なら捕らないといけない。あの1本で流れが変わってしまった…」と最後は言葉に詰まり、大粒の涙を流した。敗北の責任を小さな体で一身に背負った。

 野球部の監督を校長が兼務するという異常事態の中、仲間と話し合い、コーチの指示を仰ぎながら必死に甲子園を目指した2年半。「新チームになってから基礎ばっかりの練習でしんどいことが多かった。でも最後にこうして自分たちの野球ができた。高校生活、自分たちがやってきたことを表現できた」と謝名堂は前を向く。

 普通の高校生、普通の野球部であれば絶対に経験しなかったことは多々あった。周囲から「背負いすぎるな」と言われても、17歳の少年は気丈に前を向いて頑張ってきた。強いPLの伝統を途切れさせないために、戦ってきた今夏-。その経験は必ず、今後の人生に生きるはずだ。

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