はいからさんが通る 宝塚歌劇が舞台化

大正ロマン花開く東京を舞台に、陸軍少尉・伊集院忍と女学生・花村紅緒の恋物語をコミカルかつドラマティックに描く少女漫画『はいからさんが通る』(原作・大和和紀)。今年、連載終了から40周年を迎えた本作が、宝塚歌劇団により舞台化され7日、「梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ」(大阪市北区)で開幕した。

宝塚歌劇団花組の男役スター・柚香 光(ゆずか・れい)の外部公演初主演作ということもあり、すごい熱気に包まれた場内。冒頭のナンバーで全キャラクターが揃ってポップに歌い踊ると、大きな歓声が沸き起こった。

物語は、演出家・小柳奈穂子が原作の名場面をうまく抽出し、劇的な終盤まで流れるような展開。シベリア出兵や関東大震災、女性の社会進出などを盛り込み、歴史大河ドラマとしても見応えたっぷり。さらに、桜の木の下での少尉と紅緒の出会い、お酒に酔った紅緒を少尉がおぶって介抱するシーンなど、原作をリスペクトする『萌えポイント』が満載だ。

各キャラクターも忠実に再現され、帝国陸軍の軍服を颯爽と着こなす伊集院少尉の柚香光は、端正な容姿が日本人とドイツ人の両親に生まれた金髪のハーフという役柄にぴったり。笑い上戸な少尉の明るさや優しさが声色からもにじみ出る、懐の深い男性像で惹きつけた。

また、初ヒロイン(新人公演除く)に抜擢された華 優希は、竹刀も振り回すお転婆娘を表情豊かに愛らしく演じ、大健闘。紅緒に次第に惹かれる美形の編集長・青江冬星役の鳳月 杏は、ときに観客の笑いを誘いつつ、伸びやかな歌声や台詞で感動をもたらし八面六臂の活躍だ。

そのほか、男気ある鬼島森吾軍曹をワイルドに演じた水美舞斗、歌舞伎の女形役者・藤枝蘭丸役で下級生とは思えない芸の幅を見せた聖乃あすか、華族の令嬢・北小路環役で大正モダンガールを体現した城妃美伶など、出演者それぞれが作品世界を濃厚に彩った。

初日の挨拶で柚香は、「幕開きからみなさまの温かい笑い声、拍手、歓声をいただき、出演者一同心からうれしく思います」と挨拶。王道ラブコメディーを演者も観客も心底楽しんでいるような、幸せな劇空間となった。大阪公演は10月15日まで。

取材・文/小野寺亜紀

(Lmaga.jp)

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