真琴つばさ「新納慎也さんはやさしい人」

宝塚歌劇団を退団後もエンターテイナーぶりを発揮し、舞台やテレビで幅広く活躍する元月組トップスター・真琴つばさが、初のカバーアルバム『眠れない夜にあなたのそばにいたい』を11月23日にリリース。そのうちの収録曲には、NHK大河ドラマ『真田丸』での好演が光った俳優でシンガーソングライターの新納慎也(にいろしんや)がプロデュースした新曲『Desert Rose』も。「今年は一年歌に恵まれ、ずっと譜面を持ち歩いていました」と充実の表情を見せる真琴に話を伺った。

──6年ぶりのニューアルバム、どのような1枚を目指されましたか?

私もある程度年齢を重ねて、皆様の「元気ドリンク」から「携帯カイロ」のように寄り添える存在でありたいなと思うようになってきました。そこで「そんな私に合う曲は?」と音楽関係者の方などにリクエストを募ると、集まってきた曲がまさに夜眠れないときに聴くようなしっとり系が多かった。大きく分類すると、シャンソンも含めて別れを歌った「女歌」と、男のやせ我慢を象徴するような「男歌」に。以前、沢田研二さんの『サムライ』を歌った時も、「男のやせ我慢の歌が似合う」と言われたんです。男役だっただけに、自然と男心は分かりますね(笑)。

──『酒と泪と男と女』もまさに、ですね。カラオケで歌ったことも?

私、カラオケは行かないんです。だからほとんどの曲が歌うのは「初めまして」。井上陽水さんの『いっそ セレナーデ』、さだまさしさんの『案山子』は、唯一私から控えめにプレゼンしたのが通りました。『案山子』は亡くなった父へのオマージュでもあります。歌詞の中の情景が、宝塚歌劇団に入った娘を想う父の気持ちと重なるんですよ。もう30年ぐらい経ったので、ようやく歌ってみる気持ちになれました。

──それらの曲も含めて、眺めてみると1970年代、80年代のカバー曲が多いですね。

この時代の曲って何気なく聴いていただけでも、私たちの世代は覚えてますよね。ですので、ちゃんと聴いたつもりはなかったのに歌えてしまうという。この時代の歌は、色褪せない艶やかさが魅力。りりィさんの『私は泣いています』ではジャズ風のウッドベースから入ったりと、前奏のアレンジからしびれるものが多いです。中島みゆきさんの『わかれうた』のスパニッシュアレンジも大好き。スパニッシュというとつい血が騒ぎますが、今回はなるべく熱さを抑えた私をお見せしたい、と思って取り組みました。

──そのなかで、またひと味違うのが新曲『Desert Rose』ですね。作詞・作曲をされた新納慎也さんとのつながりは?

今年行ったシャンソンのコンサートにゲスト出演してくださっていますが、これまで本格的な共演はなくて。でも、実はその前に、某音楽プロデューサーが彼の作詞の才能は天才的だと仰っていて、今回はぜひ作曲もお願いしようという運びに。仮歌をご自身で吹き込まれていたのですが、私よりも全然女らしい! 「女性は一枚ベルベットのカーテンをまとっている。あなたには見せないわよ」ということを歌っているのですが、大人の女性の心をよく見ていると感心しました。彼と一緒にお仕事をして「逆ジェンガ」みたいな人と・・・。安定しなくなったジェンガの足りないすき間に、スッと木を差し込んで、サポートしてくれるようなやさしい人です。

──全体を通して、低音が心地よく響く真琴さんの声が活かされたアルバムになっていますね。

私の歌声を「ベルベットボイス」なんて言っていただきますが、私の場合ベルベットに手で触れたときの滑らかさと、逆向きのザラッとした質感、両方を持っている声だと思います。ザラッとの方が多いかも(笑)。歌手としては音域が孤独なんです。男性のキーでも女性のキーでもないから、なかなか人とハモりづらい。男役になった当初は「娘役をやれば?」と言われるぐらい高い声だったのですが、宝塚在団中17年かけてこの声になりました。今回アルバムをイヤホンで聴いて、ようやく理想の声に近付いてきたと思えました。

──今年は、アルバムをリリースされて歌手としてはもちろん、バラエティ番組でもご活躍でしたが・・・。

コメントが冴えているときもありますでしょ! でもトークが得意なのではなく沈黙が怖いんです。普段はインドア派でテンションが低くて。「真琴つばさ」としてバラエティ番組に出ると、心の中にある感情を表に出すことができます。最近は旅ロケも多く、旅先で色んな方とお会いできるのも楽しみ。このアルバムを持って全国のラジオ局にも行きたいぐらい!

──それは完全なインドア派ではないかも!?(笑)

昔から二面性がすごくありました(笑)。家で一人で人形遊びをしたり、男の子と外で活発に遊んだり。最近は落語にはまっています。眠れないときに立川志の輔さんのCDを聴いたら面白くて・・・結局、眠れないのですが。みなさまは眠れないとき、ぜひこのアルバムをお聴きください! 私の中のもう一面が潜んでいます。大阪では初のサイン会(12月10日)も行うのですが、どなたか来てくださるか、心配で。ぜひ! いらしてください。

取材・文/小野寺亜紀

(Lmaga.jp)

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