小吹隆文撰・おでかけアート、5/4~

「とにかく誰よりも現場を見て歩く」を信条に、美術ライター・小吹隆文が膨大なアートの海から、いま必見の展覧会をピックアップ! 今週はさまざまな視点を投げかける現代アートの展覧会を紹介します。

ベテランと新人の共演から何が生まれるか

『中西學・吉川舞 Layer Method?』

@SUNABAギャラリー(大阪市浪速区)

大阪芸術大学出身の2作家、中西學と吉川舞が初の共演を果たします。

1980年代から活動している中西學は、躍動感溢れる巨大な立体作品や生命・神話などをテーマにしたリズミックな作品で知られており、近年は、墨流しやマーブリングを応用した手法に透明ポリエステル樹脂を溶け込ませたシリーズ「Luminous Flux(ルミナス・フラックス)」に取り組んでいます。一方、吉川は、2010年に大阪芸術大学を卒業した後、佐賀県立有田窯業大学校で絵付けを学び、現在は関西を拠点に活動中。作品は、ファッション雑誌などから抜き出した写真画像や量産陶磁器用の転写シートをコラージュしたポップなもの。年代も技法も異なる2人の共演から生じる化学反応に期待大です。

2016年5月7日(土)~18日(水)

 

アートの多様性を味わうのに最適なグループ展

『ART1 2016:Stepping into Fresh』

@アートコートギャラリー(大阪市北区)

大阪の「アートコートギャラリー」で新たなグループ展が始まります。同ギャラリーのグループ展といえば、美術関係者やメディアの人間が注目作家を推薦する「アートコートフロンティア」が有名ですが、本展では、キャリア、年代、作風の面でさらに多様なアーティストが集結しています。

出展作家は、既に国際的に活躍している名和晃平、2014年に不慮の事故で亡くなった後も評価が高まり続けている國府理、昨年の「日産アートアワード」でオーディエンス賞を受賞し、今年は「あいちトリエンナーレ」での活躍が期待されている久門剛史のほか、今村遼佑、岡田一郎、乃村拓郎、東明など17作家。現代アートファンなら見逃せない機会となること間違いなしです。

2016年5月10日(火)~6月4日(土)

 

未来を見据えた型破りな展覧会

『still moving - on the terrace』

@京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA(京都市中京区)ほか

JR京都駅東側にある崇仁地域への移転を予定している京都市立芸術大学。同校が、移転後に大学が果たす役割や新しい生き方・働き方・コミュニケーションを模索して開催しているのが、この「still moving」です。

昨年に続き2回目となる今回は、9組のプロジェクトメンバーがそれぞれのテーマに基いた展示を行っています。展示には展示室だけでなく、バックヤードやエレベーターも使用しており、それらの場所を敢えて「誤読」しているのも興味深いところです。一般的な展覧会とは趣が異なるので、見に行ったら戸惑う人もいるでしょう。しかし、こういう実験的な企画から新たな表現が芽吹くのです。そのエキサイティングな瞬間をぜひ感じてください。

2016年4月16日(土)~5月29日(日)

(Lmaga.jp)

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