ＩＳＰＳハンダグローバルカップ大成功！世界に見せつけた大和魂

　国内男子ゴルフのＩＳＰＳハンダグローバルカップは６月２８日、プレーオフの末、武藤俊憲（３７）＝赤城ＣＣ＝が、３年ぶりとなるツアー６勝目を挙げて幕を閉じた。この試合の一番の見どころは、海外ツアーのトッププロが数多く参加し、日本人選手と優勝争いを繰り広げたことではないだろうか。通常の国内ツアーとは、また違った雰囲気を楽しんだギャラリーも多かったはず。今年から大会を主催した一般社団法人国際スポーツ振興協会（ＩＳＰＳ）の半田晴久会長（６３）に、大会開催の意義を聞いた。

爆笑の表彰式

　最終日の表彰式で、爆笑に包まれるシーンがあった。羽織はかま姿で登場した半田会長が、優勝者の武藤に着せたのはジャケットではなく、緑色の羽織。グリーンジャケットならぬ、〝グリーン羽織〟を着た武藤に、半田会長は「あっぱれじゃったのう～、武藤お代官様」と話しかけ、会場の笑いを誘ったのだ。

　誰もが笑顔で終わった表彰式だが、羽織にこだわったのには訳があった。そのキーワードが大会の名前にもなった〝グローバル〟だ。

　来年のリオ五輪からゴルフが正式種目に採用される。男子ゴルフもメダルを期待したいところだが、残念ながら国内男子の勢いは下り坂。昨年にいたっては、史上最低の試合数で、７週間も試合がない期間さえあった。このありさまで、メダルが果たして取れるのか。半田会長は「日本の男子ゴルフ界の将来に大きな危機を感じた。これでは男子レギュラーツアーは埋没し、オリンピックも戦えない」と、海外でのスポンサー試合を縮小し、国内男子に資金を集中させたのだ。

　半田会長によれば、今、海外ツアーは米ツアーの一強に対し、欧州、アジア、豪州、南アが一つになろうとしている時期だという。そのとき日本ツアーはどうするのか？海外ツアーの流れに乗りきれず、〝ガラパゴス化〟していってしまうのか。半田会長はそれを危惧し、世界各国のツアー選手と日本選手たちと競わせる今大会の開催に踏み切った。

　ただ開催するだけではない。大会を衛星配信し、国内男子ツアーとしては初めて全世界に試合の様子を届けたのだ。

　海外５大陸で１億３０００万世帯、テレビ視聴も含めれば１億７０００万世帯に試合の様子が流れたのだ。半田会長は「来年、再来年とヨーロッパツアーとコーサンクション（共同開催）すれば、６億世帯に流れる。そうすればみんなが注目し、興味をもってくれ、日本のゴルフ界も盛り上がる」と力説。その第一歩が今年、山梨で踏み出された。

ＰＯ激闘制す

　そしてその記念すべき１回目で、アジアンツアーから招待したキューと、武藤がプレーオフにまでもつれ込み、結果、武藤が勝利した。また、「超ローカルと超インターナショナルな対決」（半田会長）という、山梨出身で、まだ無名の小池とポールターが同組で競い合った。世界と日本ががっぷり四つで組みあい、戦う姿は、半田会長が今大会を開催した意義をそのまま体現した格好となった。

　日本ツアーは〝グローバル〟にならなければいけないが、〝大和魂〟を忘れてはいけない。そんな思いが、表彰式のグリーン羽織に込められていたのかもしれない。「最後に武藤選手が勝ってくれて、本当にうれしかった」と半田会長は喜んだ。来年は一体、どんな戦いが繰り広げられるのだろうか。