「高校野球・広島決勝、広陵2-0如水館」(28日、マツダ)
決勝が行われ、広陵が如水館を下し、08年以来2年ぶり20度目の甲子園出場を決めた。三回に2点を先制すると、有原航平投手(3年)が4安打完封。09年の決勝で敗れた如水館に雪辱を果たした。4強だった選抜に続く2季連続の甲子園。中井哲之監督(48)が狙うのは、夏は初めてとなる全国制覇だ。
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冷静沈着な名将が我を忘れた。九回2死。最後の打者を一塁ゴロに打ち取ると、マウンド後方に歓喜の輪ができた。ただ、その輪郭は徐々にぼやけた。1年間の労が報われた直後、中井監督の目には涙が浮かんだ。
「今まで負けてきた先輩のおかげで勝つことができた。有原は1カ月前に右ヒジを痛めて、投げられる状態ではなかったけど、いろんな人のサポートがあってね…。さすがに胸が詰まった」
後方の三塁側スタンドでは、メンバー外の3年生だけで結成された応援団が、グラウンドに飛び出しそうな勢いで狂喜。指揮官はこぶしを突き出して応えた。多くの支えがあってこそ手に入れられた甲子園切符。中井監督の胸中には「感謝」の2文字しかなかった。
チーム一丸で昨夏決勝で敗れた如水館に雪辱を果たした。三回1死一、二塁で先制左前打を放った徳田真優内野手(3年)は「借りを返さないといけないと思っていた」。続く2死一、二塁では丸子達也内野手(2年)が右前適時打。昨夏決勝で3打数無安打2三振に終わった主砲は「去年はチャンスを無駄にしていたのでよかった」と胸を張った。6月下旬に右ヒジを痛めた有原は、9回4安打の完封。打線の意地を無駄にしなかった。
中井監督にとっては念願の「優勝」だった。昨夏、吉田との2回戦に勝った直後の09年7月19日。実弟・隆さん(享年44)を脳腫瘍(しゅよう)で亡くした。優勝して金メダルを届けることを誓ったが、決勝で敗戦。失意のまま仏壇に銀メダルを届けた。さらに全国制覇を狙った今春の選抜も4強だった。
選手には一度も悲しんだそぶりを見せておらず、思いを伝えたこともない。だが、3年間苦楽をともにしてきた教え子は、敏感に感じ取っていた。7月19日の朝、寮の部員全員で天国の隆さんに1分間の黙とうを捧げた。今度こそ、監督に金メダルを‐。合言葉を胸に6試合を戦い、参加96校の頂点に立った。
2年ぶり20回目の夏の甲子園。福田周平主将(3年)は「日本一を狙います」と言い切った。中井監督は「有原の右ヒジのことはみんなが知っていたけど、漏れていないのはチーム内のルールがしっかりしているから」と、結束力には絶対の自信を持つ。夏の甲子園の最高成績は3度の準優勝。広陵は全員一丸で新たな歴史の扉を開く。













