皐月賞・G1

アンライバルド

敵なし1冠

2009/4/19 中山競馬場

▼第69回皐月賞
1着 アンライバルド 岩田康誠 1:58.7
2着 トライアンフマーチ 武幸四郎 1 1/2
3着 セイウンワンダー 内田博幸 1/2

 3強の下馬評を覆す、圧倒的な強さで、アンライバルドが最初の1冠を手にした。直線で早めに抜け出すと、後続を寄せつけずに完勝。03年ネオユニヴァースとの父子制覇を達成した。今後は厩舎で調整して、ダービー(5月31日・東京)で2冠獲りを目指す。1番人気ロジユニヴァースは14着、2番人気のリーチザクラウンは13着に敗れ、3連単は39万馬券と波乱になった。

写真・アンライバルド

皐月賞を制したアンライバルド(左)、鞍上の岩田はムチを振って絶叫


ネオユニと父子制覇達成
ダービーも主役だ!!

 

 力でねじ伏せた。アンライバルドが堂々と、先頭でゴールを駆け抜けた。ロジユニヴァース、リーチザクラウンとの“3強決戦”と言われた。だが、岩田はただアンライバルドの力に信頼を寄せていた。「相手よりも、自分の馬を信じていた。折り合いだけを重視していた」。信じた先に、栄光が待っていた。

 

 道中は人馬の呼吸もぴったり。あとは仕掛けのタイミングを計るだけだった。ゴーサインを出したのは4角手前。「ちょっと早いかなと思ったけど、勢いで行ってしまおうと。すごく状態も良くて、折り合いもすごくついていた。その分、切れ味も増していた」。伸びあぐねる“2強”を置き去りにして、直線で早々と抜け出した。ゴールまでの急坂にも、その脚色が鈍ることはなかった。トライアンフマーチ、セイウンワンダーの2着争いを尻目に悠々の1冠制覇。「今までで一番強かった」と岩田はパートナーをたたえた。

 デビュー当初から気性が激しく、厳しい調教を施すことができなかった。だが、京都2歳Sで3着に敗れた後の短期放牧が転機となった。短期間で心身ともに急成長。友道師は「ガラリと変わった。ケイコもしっかりとやれるようになったし、競馬当日でも落ち着くようになった」と振り返った。前走のスプリングSでは、初の中山コース、長距離輸送を無事にクリア。本番へ大きな糧となった。「学習能力が高いというか、競馬を覚える頭がいい」と絶賛した。

 「(子馬のときに)牧場で見たときから、品があってバランスもよく、いい馬だと思っていた」。その目には狂いはなかった。次はダービーで2冠獲りを目指す。友道師は大きな期待を胸に先を見据えた。「2強を超えた?きょうのところはです。距離は延びた方がいいと思うので楽しみ。父も兄もダービー馬なので、ぜひとも獲らせてあげたい」。

 96年に兄フサイチコンコルドが、03年に父ネオユニヴァースが頂点に立った。3強から一歩抜け出したアンライバルドが、府中の二千四百メートルで再び主役を演じる。

 



 

写真・安藤勝己騎手と蒼井優

まず一冠。人差し指を上げる岩田

 

岩田快カ〜ン「今までで一番強い」

【ノーザンF吉田代表Vも複雑・・・】

 

 アンライアルドの生産牧場であるノーザンファームの吉田勝己代表は、「流れも向いたが、落ち着きが出てきたのが大きいね。牧場時代からいい馬だったけど、どんどん良くなっている。ネオユニヴァースの子は切れ味があるね」と満足げ。桜花賞のブエナビスタに続いてクラシック2週連続Vとなったが、勝ち馬と同じネオユニヴァース産駒の一番人気ロジユニヴァースの大敗には複雑な表情を見せていた。

 

 

ダービー参戦流動的に
ノリ「手応えなかった」

 

 信じられない光景に誰もが目を疑ったことだろう。単勝1・7倍と3強の中でも圧倒的な支持を集めたロジユニヴァースは、見せ場なく14着に惨敗。無敗で皐月賞制覇の夢は無残に散った。
 「位置取りに関しては番手とか考えずに出たなりで。道中も流れてくれた」と横山典。中団やや前をスムーズに追走、さあこれからという時にパートナーが全く反応を示さない。

 「4角で前のリーチザクラウンに並びかけようとしたときにもう手応えがなかった」。これまでの安定した走りから想像もできない結末。「あそこまでバテる馬ではない。敗因を見つけないと」と最後まで厳しい表情のままだった。

 「大きな原因があるのは確か。まだ詳しく見ていませんが、馬体には異常はなかったようです」と萩原師は話しており、レース中の故障はなかった模様。「放牧に出すかなども含め、今後のことについてはオーナーとも相談して決めたい」と、リベンジの舞台になるはずのダービー参戦すらも流動的な情勢になってきた。しかし、このままでは終われない。敗因を追求した上で、立て直しを図っていく。

 


ユタカお手上げ
ダービーは逃げ宣言


 持ち味を全く出せぬまま13着に惨敗した。2番人気リーチザクラウンは、好位の外で終始行きたがり、4コーナー手前では先行したゴールデンチケット、アーリーロブストに並びかけたが、直線では伸びるシーンはなし。「掛かったね。流れが速くても抑えられない。あれ以上オーバーペースにしてまで、(ハナに)行くのもねえ。描いていた最悪のケースになりました」。武豊はお手上げの様子で振り返った。
  初の長距離輸送も無事にクリア。体重も増えていた。「ガックリしました」と無念の表情を見せたのは橋口師。「ずっと力んでいた。あれなら思い切って行って1頭で走らせた方がよかった。リラックスして走れれば距離は持つ。次は思い切って行かせる」と、早くも巻き返しを狙うダービーでの逃げ作戦を予告した。


トライアンフマーチ 2着   

 

 8番人気トライアンフマーチが、最後方から最速の上がりで追い込み2着に突っ込んだ。「これまでいろいろと競馬を教えてきたけど、それをやっと爆発させてくれた」と武幸。角居師は「力も付けたけど、まじめになってくれたのが大きい。これで胸を張ってダービーに行けます」と競馬の祭典に思いをはせた。父スペシャルウィークに続く、親子制覇へ夢が広がる。

 

 

セイウンワンダー 3着   


 意地は見せた。2歳チャンピオンのセイウンワンダーは、後方から末脚を伸ばして3着。道中はアンライバルドをぴったりマークしていたが、勝負どころで一気に突き放されてしまった。内田博は「勝ち馬をマークしながら行ったが、ペースが上がった瞬間に離されてしまった。最後は詰めてくれたけどね」と残念そうに語った。この後はダービーへ直行する予定。


 

 

アンライバルド…牡3歳。父ネオユニヴァース、母バレークイーン(母の父サドラーズウェルズ)。馬主・(有)サンデーレーシング。生産者・安平町 ノーザンファーム。戦績・5戦4勝。重賞・09年スプリングSに続き2勝目。総収得賞金・217、979、000円。友道康夫調教師、岩田康誠騎手ともに初勝利。

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