阪神JF・G1

アパパネ

やったね

2009/12/13 阪神競馬場

▼第61回阪神JF
1着 アパパネ 蛯名正義 1:34.9
2着 アニメイトバイオ 内田博幸 1/2
3着 ベストクルーズ 安藤勝己 3/4

 5年ぶりに関東馬が2歳女王の座を射止めた。栗東滞在で態勢を整えたアパパネが完勝。蛯名を背に中位追走から直線で一気に抜け出し、重賞初VをG1で飾った。阪神が新コースとなった06年以降の優勝馬3頭は、すべて翌春のクラシックを制覇。出世レースを制し今後が楽しみになった。2着はアニメイトバイオで、関東馬のG1でのワンツーは07年ヴィクトリアマイル以来、2年7カ月ぶり。1番人気シンメイフジは5着に敗れた。

写真・アパパネ

内めから鋭く抜け出すアパパネ(左)

 

関東馬5年ぶり2歳女王!

2年7カ月ぶりワンツー!!

 

 ウオッカやブエナビスタも通った名牝への道、2歳女王決定戦を制したのは蛯名騎乗のアパパネだった。“栗東留学”の関東馬が、仁川の地で飛躍への第一歩を記した。


 ゲート入りに手こずるシーンもあったが、スタートは速かった。大外(18)番枠からポンと飛び出ると、すぐに人馬の折り合いがピタリとつく。早めに内に潜り込んで自慢の末脚の温存に成功した。勝利への大きなポイントとなったのは4角。有力各馬が外を回したのに対して、アパパネは内へ。きれいにあいたVロードを真っすぐに駆け抜け、アニメイトバイオの必死の抵抗も退けてみせた。


 「かなりやれると思っていた馬で結果を出せてホッとしています」。07年有馬記念のマツリダゴッホ以来、14度目のJRA・G1制覇を飾った蛯名は笑顔でお立ち台に上がった。折り合い面に課題が残る現状で、引いたのは大外枠。普通ならマイナスに思える状況下だったが、東のベテランは冷静かつ前向きだった。「この馬にとって、この枠が一番いいと思うしかない」。いい意味での開き直りが馬にも通じたのだろう。前走の赤松賞で見せたムキになる面も、大一番では封印できた。


 11月26日に栗東トレセンへ移動し、鋭意調整。さい配を振るった国枝師はその栗東留学のパイオニアであり、またかつて初めて関西馬の前線基地へと入厩させたのがアパパネの母ソルティビッド(02年阪神JF17着)だった。積み重ねたノウハウがあったからこそ、なし得たG1制覇。「レース直前に長距離輸送したり、環境の変化があったりするのは厳しい条件。できれば不安要素を取り除きたかった。いい状態で出走できたし、体に実も入ってきたね」と指揮官は効果を口にする。昨年はダノンベルベールで2着に敗れているだけに喜びもひとしおだった。


 06年のウオッカを筆頭に07年トールポピー、08年ブエナビスタとこのレースの優勝馬は翌春のクラシックをV。名牝への道をひた走るアパパネは2010年、関西のトライアルを使って桜花賞(4月11日・阪神)へ臨む。馬名は、ハワイに生息する赤い鳥から取ったもの。来春もまた、栗東から大きく羽ばたこうとしている。



 

 

 

写真・武豊

JRA通算3300勝を達成した武豊


【末脚22年9カ月で到達】

 

 名手がまた大きな区切りの数字を迎えた。13日の阪神1Rをオメガブルーグラスで鮮やかに差し切り、武豊騎手(40)=栗東・フリー=がJRA通算3300勝を達成した。デビューから約22年9カ月での到達。自身の持つ最多勝記録を更新し続けている。
 記録達成に武豊は「素直にうれしいですよ。20年以上かけての数字ですからね。ひとつひとつが多くの方に支えられているだけに感慨深いものはある。今年は目立った活躍ができいないが、応援してくれる人はたくさんいる。達成できてホッとしています」と表情が緩んだ。一方、7年連続(16度)で獲得している全国リーディング争いは現在、首位の内田博から9勝差(地方交流戦を含めれば8勝差)と苦戦。「厳しいが、ベストを尽くしたい」と話した。

 

【末脚ハンパネェ〜】

 

 馬主冥利(みょうり)に尽きる一戦だった。アパパネの金子真人オーナーは、父キングカメハメハと母ソルティビッドも所有していた。「ソルティビッドはフロリダのセリで自分で落札した馬で、ペットにしたいくらいかわいい。本当にうれしいです」。父母ともに自らの馬でのG1勝利は初めてだという。「新しい喜び方を覚えましたよ」と感慨深げに語った。

 

 

4着 ラナンキュラス

 

 囲まれる形でも問題なかった。ただ、馬場が悪くて何度かノメっていた。それを考えればよく走っている」(四位)

 

 

7着 ステラリード

 

「いいリズムで4角へ。外に出したが、内に行った方が良かったかな。距離ももう少し短い方がいいのかも」(デムーロ)

 

 

8着 カスクドール

 

「スタートでバランスを崩したが、じっくりと内で乗れた。成長途上だから、伸びてくると思うよ」(小牧)

 

 

9着 タガノガルーダ

 

「テンションは高かったが、返し馬では落ち着いていた。素質はあるので、体に幅が出てくれば」(浜中)

 

 

 





アパパネ…牝2歳。父キングカメハメハ、母ソルティビッド(母の父ソルトレイク)。馬主・金子真人ホールディングス(株)。生産者・北海道安平町 ノーザンファーム。戦績・4戦3勝。重賞初勝利。総収得賞金・78、571、000円。国枝栄調教師、蛯名正義騎手ともに初勝利。

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