Cダート・G1

エスポワール獲った

中央G1

2009/12/6 阪神競馬場

▼第10回Cダート
1着 エスポワールシチー 佐藤哲三 1:49.9
2着 シルクメビウス 田中博康 3 1/2
3着 ゴールデンチケット C.ルメール 1 1/4

 影すら踏ませなかった。鮮やかな逃走劇で後続を完封し、エスポワールシチーが4連勝で中央G1初制覇を決めた。地方を含め、3度目のG1制覇。国内最強の称号を手にして、世界挑戦も見据える。2着にシルクメビウス、3着にはゴールデンチケットと3歳世代が続き、3連単は13万馬券となった。G1・9勝目を狙った、2番人気のヴァーミリアンは8着に沈んだ。

写真・佐藤哲とエスポワールシチー

こぶしを大きく突き上げる佐藤哲とエスポワールシチー

 

佐藤哲15年連続JRA重賞制覇

 

【英才教育実って4連勝】

 

 速い、強い―。自慢のスピードをフル回転させて、4歳馬が坂を駆け上がる。後続にスキを与えない完勝劇。エスポワールシチーが悲願の中央G1初制覇を決めた。フェブラリーSに続く4歳世代の頂点奪取。昨年は現7歳世代が上位を独占したが、1年を経て景色は一変。ダート界は新しいステージへと突入した。


 かしわ記念、南部杯と交流G1を連覇し、佐藤哲も手応えをつかんで挑んだ戦い。G1最多の8勝を誇るヴァーミリアンを抑えての1番人気も後押しする。だが、勝負の神は試練を与えた。「調教で勝てる手応えはあったが、枠番が出て試練だと思った。すごく悩んで考えた」と振り返る。最内枠が空気を重くした。


 3馬身半差 ただ、心配は杞憂(きゆう)に終わった。ゲートがあくと、気分に任せるように1角へ突入。米国の刺客、ティズウェイが外から先手を主張するが、コーナーワークを生かしてハナを奪う。そこからは独壇場だった。前半1000メートルの通過は60秒7。マイペースを貫いて、15頭を従えて勝負の直線へ。一瞬のうちに後続を引き離すと、3馬身半もの差をつけて歓喜のゴールを駆け抜けた。


 新ダート王の誕生に、主戦は「人馬ともに、いい集中力で臨めた。エスポ君がG1を勝って、涙が出るほどにうれしい」と感情を表に出した。07年12月にケガで戦列を離れたが、復帰後に明るい光をくれた存在。「G1を獲れる馬だと思って鍛えてきた」。15年連続のJRA重賞制覇に、感慨深げな表情を浮かべた。


 決して順風満帆なVロードではなかった。憶病な気性に、未完成な馬体。並んだ修正点にも焦ることなく、調教でひとつずつ叩き込んできた。そして、実戦では常に高いレベルを求めてきた。人馬の信頼関係が最高の形で大輪の花を咲かせた。「いつもみたいにのびのびと逃げていて、いい感じだなと思った」。安達師も喜びをかみしめる。


 世界も視野 これでダートでは10戦8勝。年間G1・3勝は歴代のダート王に肩を並べる数字だ。日本の頂点に立ち、次なる舞台として世界も視野に入る。「この馬なら楽しめる」と佐藤哲が話せば、師も「行ってみたい気持ちはあります」と前向きに言葉を紡いだ。さらなる頂きに向かって、チーム・エスポワールシチーの挑戦は続く。


 

 

 

写真・佐藤哲とエスポワールシチー

佐藤哲とエスポワールシチー


【オーナークラブ「関係者に感謝」】

 

 シチーの冠で知られる(株)友駿ホースクラブにとっては、86年阪神3歳S(ゴールドシチー)、03年JC、04年宝塚記念(ともにタップダンスシチー)に続きJRA・G1・4勝目となった。東京事務所の岩田日出夫氏(47)は、「とにかく強い競馬を見せてくれました。厩舎やジョッキーのおかげで、ここまで強くなれたと思います。今まで支えてくれた関係者の方に感謝します」と喜びを語った。

 

 

 

2着 シルクメビウス

 

 グイグイ伸びた 5番人気シルクメビウスが直線で外からグイグイと伸びて2着。コンビを組んだ田中博は、エリザベス女王杯でのクィーンスプマンテの逃げ切りVに続き、G1の大舞台で連対を果たした。「折り合いはついていたし、外を回って強い競馬をしてくれた。来年は大きいところを狙いたい」と3歳勢での最先着に胸を張る。今後は放牧へ出され、来春の戦いに備える。

 

3着 ゴールデンチケット

 

高配呼んだ3歳 3連単は13万を超す高配当。その波乱の立役者になったのは、賞金上位馬の回避により、ギリギリ16番目でゲートインしたゴールデンチケットだった。後方から直線で猛追して3着。改めて3歳世代の層の厚さを見せた。初コンビのルメールは、「バックストレッチでうまく流れに乗り、脚をためることができた。直線も力強く伸びてくれたよ」と笑顔で振り返った。

 

 5着 アドマイヤスバル

 

「もうひと伸びしたし、力をつけているね。今後が楽しみ」(勝浦)

 

6着 ワンダーアキュート

 

「外枠にはうれしくない流れになった。4角でも持ったまま。ただ、力が見劣らないのは分かったから」(和田)

 

7着 メイショウトウコン

 

 「昨年と比べたら、馬の具合はだいぶ良かったけどね」(藤田)

 

9着 マコトスパルビエロ

 

 「いいリズムで走っていたけど。途中から動いたが、最後までバテていない」(安藤勝)

 





エスポワールシチー…牡4歳。父ゴールドアリュール、母エミネントシチー(母の父ブライアンズタイム)。馬主・(株)友駿ホースクラブ。生産者・北海道日高町 幾千世牧場。戦績・17戦9勝(うち地方2戦2勝)。重賞・09年マーチS、かしわ記念、南部杯に続き4勝目。総取得賞金・390、331、000円(うち地方110、000、000円)。安達昭夫調教師、佐藤哲三騎手ともに初勝利。

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